笑顔でガッツポーズをするとポジティブになれる
◆「表情フィードバック仮説」を越えた「身体化認知学説」
「表情フィードバック仮説」とは、
「顔の表情」が「感情」に影響を与えるという考えです。
つまり、笑顔を作ると心が明るくなり、
困った顔をすると心が暗くなるということです。
それを実証する研究は数多くあります。
近年、「表情フィードバック仮説」を越えた
「身体化認知学説」が提唱されています。
「身体化認知学説」とは、体の感覚そのものが、「意思決定」「モチベーション」「判断」などに影響を与えるという説です。
これは具体的にはどういうことでしょうか。
日常生活に、どう生かせるのでしょうか。
◆体のポーズが心に影響する
ネガティブな「表情」をしている人は、
「気持ち」も、「判断」や「行動」もネガティブになりがちです。
これは「表情フィードバック仮説」で説明がつきます。
「表情」だけでなく、「体の姿勢」が心に影響を与えるというのが
「身体化認知学説」です。
首を垂れ、前かがみの姿勢(意気消沈した姿勢)をとった人は、
胸を張り、少し上方を見る姿勢(誇らしげな姿勢)をとった人に比べて、
モチベーションが低下していたという研究結果があります。
大相撲の琴奨菊が、取組前に見せる、ガッツポーズをして胸をそらす姿勢は「琴バウワー」と名づけられ有名です。
「強い自分を作りたい」と、スポーツ心理学者の助言により誕生したポーズと言われています。
強さを誇示するポーズが、心にも影響を与えるのでしょう。
今日「ポジティブ心理学」とか「ポジティブシンキング」と言われ、
前向きな「気持ち」で、前向きな「判断」をし、前向きに「行動」することが勧められています。
その第一歩として、前向きな「ポーズ」をしてみましょう。
笑顔で、胸を張り、ガッツポーズをすると、
心も前向きになるのではないでしょうか。
参考文献
佐々木光美:「表情と情動」,東京医科大学雑誌 76(2): 219-223, 2018