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高齢者は「止めストレッチ」
◆廃用症候群
「廃用症候群」という用語があります。
高齢者が入院などによって、長期間体を動かさなかった時におきる、様々な状態を言います。
「廃用」とは、用をなさなくなったことをいいます。
生まれてこの方、私は肉体とともに人生を歩んできましたが、
その体が、用をなさなくなる時が来るとは、恐ろしい話です
医療界では、高齢者はなるべく入院させないように、
なるべく早く退院するように、努められています。
理由は「廃用症候群」にならないためです。
昔は肺炎になると、2週間入院して点滴治療をしていました。
2週間入院していると、下肢の筋肉は2割減少すると言われます。
退院後、「起きれない」「歩けない」という事態になり、
そのまま自宅で寝たきりになってしまいます。
少し乱暴かもしれませんが、熱が下がったら早々に退院し、
点滴に通ってもらうか、飲み薬で治療する方が良いのかもしれません。
◆筋肉は使い続けよう
廃用症候群には、「筋肉がやせる」「関節が硬くなる」「骨がもろくなる」などがあります。
これらは、決して寝たきりのお年寄りだけのことではありません。
20~30歳をピークに、筋肉、関節、骨は下り坂になり、
50歳を過ぎると目に見えて衰えます。
会社では、働かない人がリストラされるように、
人体では、使っていない細胞は死んでしまいます。
どうすればよいのでしょうか。
解決法はただ一つ。
使い続けることです。
脳細胞も、体の細胞も、使い続けていると、それほど衰えません。
◆ストレッチで拘縮予防
寝たきりになると、筋肉が固くなり、関節が動かなくなります。
これを拘縮といいます。
筋肉も関節もカチカチになり、膝や肘を曲げようとしても曲がらず、
伸ばそうとしても伸びなくなってしまいます。
関節の拘縮を予防するには、ストレッチが効果的です。
筋トレに比べてストレッチは体に優しいように思いますが、
70歳以上では、ストレッチによるケガが多いのです。
筋肉やじん帯の柔軟性が低下しているので、
少し伸ばしただけで切れてしまうからです。
◆安全な「止めストレッチ」
70歳からケガのない、効果的なストレッチをするには、
「止めストレッチ」がおススメです。
「止めストレッチ」とは、ぐいぐいと伸ばし続けるのではなく、
伸びた状態で止めておくことをいいます。
楽に伸ばせるところで止めて、30秒ほど待つのです。
筋肉は、引っ張られると体を守ろうと警戒します。
止めることによって、筋肉に危害を加えないことを知らせて、
筋肉が警戒を解くのを待つのです。
◆下肢のストレッチをしよう
最も優先してストレッチをしなければならないのは下肢です。
全身の筋肉の3分の2は下肢の筋肉だからです。
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〔ふともも裏のストレッチ〕
少し角度を変えると、伸びるところが変わってきます。
30秒×2回が基本です。
![](https://assets.st-note.com/img/1671802344610-FXr5AfwLOJ.jpg?width=1200)
〔太もも前のストレッチ〕
人体で最も大きな筋肉です。
立った姿勢で、手で足の甲を抱えても同様に伸ばすことができます。
30秒×2回が基本です。
![](https://assets.st-note.com/img/1671802393111-GRFmVFUrwu.jpg?width=1200)
〔ふくらはぎのストレッチ〕
後ろ足の膝を曲げると、ふくらはぎの奥の筋肉(ヒラメ筋)がストレッチされます。
30秒×2回が基本です。
参考文献
1)大渕修一:『70歳からの筋トレ&ストレッチ』, 法研,2017