眉間のシワを伸ばせば、うつ病が治る
「喜びや笑い」は心身をリラックスさせるとともに免疫をアップさせ、
癌の発生をも抑える、と言われています。
一方、「怒り、不安、悲しみ」は逆の結果をもたらすとも言われます。
健康になるためには、「喜びや笑い」を取り入れ(福は内)、
「怒り、不安、悲しみ」を追い出すこと(鬼は外)が大切です。
どうすれば心に喜びを持ち、顔に笑顔を満たすことができるのでしょうか。
◆笑顔をすれば嬉しくなる
「感情」と「顔の表情」には密接な関係があります。
嬉しいと笑顔になりますが、その逆である「笑顔をすると嬉しくなる」も実証されています。
「顔の表情は感情や気分に影響を与える」
これを「表情フィードバック仮説」といいます。
能動的にせよ受動的にせよ、「笑顔」を作ると嬉しくなります。
反対に、意味もなく「しかめ面」をすると、心に悪い影響をおよぼします。
◆「しかめ面」を治すと、憂うつも消える
眉間のシワを伸ばして、うつ病を改善させた研究があります。
うつ病患者の多くは眉間にシワのよった表情をしています。
この「眉間のシワ」を物理的に消したらどうなるかという実験です。
眉間をシワを伸ばす美容術に、ボツリヌストキシンの注射があります。
2006年、フィンジ博士とワッサーマン博士は、
10名の進行中の大うつ病患者の眉間のシワにボツリヌストキシンを注射し、うつ症状を劇的に改善させたことを報告しています。
筋肉を麻痺させて「しかめ面」を穏やかにしたことが、
感情にフィードバックされてうつ症状が改善したと思われます。
◆良い循環と悪い循環
心が顔を作り、顔がまた心に影響を与える。
これより2つの循環が考えられます。
【良い循環】
笑顔をするから、嬉しくなる。
嬉しくなるから、さらに笑顔になる。
【悪い循環】
けわしい顔をするから、不機嫌になる。
不機嫌になるから、さらにけわしい顔になる。
良い連鎖を生み出す第一歩は「笑顔」であり、
悪い連鎖を断ち切る一歩も「笑顔」ではないでしょうか。
参考文献
佐々木光美:「表情と情動」,東京医科大学雑誌 76(2): 219-223, 2018