仕事大好き人間のわたしが3週間の海外サバティカル休暇で感じたこと
こんにちは!3週間のサバティカル休暇から戻ってきたGaudiyの山本(@hanahanayaman)です。
Gaudiyには自己申告制の報酬制度があり、その報酬の一形態として「サバティカル休暇」を申告したわたしは、8月7日から8月25日にかけてポルトガルの第二都市「ポルト」という街に滞在してきました。
その体験がめちゃくちゃよかったので、まだ記憶が新しいうちに今回感じたことを残したいと思い、経由地のヒースロー空港で書いてます。このnoteが、仕事や家庭で忙しい日々を送っている人や、サバティカル休暇制度を検討する企業のみなさまの参考になれば嬉しいです。
サバティカル休暇のきっかけ
「時間はあるけどお金がない学生」と「お金はあるけど時間がない社会人」は、日本だとよくある話だと思います。
ご多分にもれず、わたしもそのひとり。学生の頃はスペインに交換留学していたこともあり、そのままバックパッカーでヨーロッパの国々を巡ったりして、お金がないながらも自由な時間を謳歌してました。知らない土地を訪ねて、いろんな国の人と知り合えることが、純粋に楽しかったです。
社会人になってからは自由な時間は減ったものの、わたしの場合は「休めない」というよりは「休みたくない」という気持ちの方が強かったと思います。特にGaudiyに入ってからは、正直あまり「仕事」という感覚がなく、実現したいビジョンがあって、そのための活動をしてる感じでした。やりたいこと/やるべきことをやってたら、会社のフェーズがどんどん前に進んで、また新しいことに挑戦できる。そのサイクルにハマったわたしは、この2年半ずっと走りっぱなしだったと思います。
もちろん、年末年始や夏休みなどの長期休暇はありますが、せいぜい1週間程度。また学生の頃みたいにゆっくり旅したいなと思ってはいたけど、数週間のまとまった休みをとるのは、さすがに転職とかフリーランスに転向でもしない限り難しいだろうなと思ってました。
そんななか、2022年の7月に、Gaudiyではじめて「報酬制度」が導入されるという出来事がありました。
この報酬制度は「会社と社員の"納得感"を最重視する」「仕事上の成果だけでなく、個々のライフステージにも寄り添いたい」という思想をコアにもち、その実現のため「自己申告方式」と「報酬形態を自ら選べる」という仕組みでスタートしました。
金銭だけじゃない報酬も申告できるというユニークな制度だったので、せっかくなら社会人で実現しづらい長期のおやすみをもらってみようと。そこで「2週間のサバティカル休暇」を申請し、無事承認をいただきました。
本当は昨年の10月頃に取得予定だったのですが、仕事がかなり立て込んでてとても行ける状態ではなかったので、一旦時期を見送ることに。それから半年経ち、頼もしいメンバーが増えて「いまなら行けそうだな」と思えるようになったので、仕事の影響が少なさそうな8月に決行することにしました。
(ちゃっかり2週間から3週間に伸ばしてもらいましたw)
どんな過ごし方をしたのか
約3週間、ポルトを滞在拠点にして、暮らすように過ごしました。
仕事するのを完全にやめようかとも思いましたが、重要なプロジェクトが秋に控えていたので、半日はワークタイムをつくることにしました。
ポルトガルは日本と8時間の時差があり、現地のワークタイムは日本の16〜20時にあたります。朝は7時前から日が昇ってきて、夜は21時近くまで明るいです。ワークタイムには、必要に応じてミーティングしたり、1on1したり、早めに対応した方がよさそうなタスクをしたりしました。
午後からはフリータイムで、街のあらゆるところを探検したり、公園の木陰でなにもせずにのんびりしたり、積読や読み返したい本を読んだり、カフェで思考をまとめたり、おいしいものを食べたりして過ごしました。
海外SIMをいれてたのでSlackをみる癖は治らなかったのですが(笑)、ちょうど時差の関係でフリータイムは日本も静かだったので、仕事のことを気にせずにのんびりできました。ヨーロッパの時差はちょうどよかったです。
週末はプチ観光にあてました。最初の週末はポルトの観光名所めぐり。ワインが有名なのでワイナリー見学に行ったり、ポルトガルの民謡音楽ファドのコンサートを聴きに行ったりしました。次の週末には一泊旅行で、電車で行けるアヴェイロとアゲダという街に行きました。
ポルトもアヴェイロもアゲダも、本当に素敵な街だった!!!街のことだけでめちゃくちゃ語れるので、また別のnoteでご紹介させていただきますw
[12/31追記] ポルト紹介noteを書きました。街の魅力はぜひこちらで!
どんな気づき・変化があったか
一言でいえば、「日常から距離をとることの意義」を感じた3週間でした。
多忙な日々から立ち止まり、自身をふりかえる良い機会になったので、備忘がてら感じたことをまとめてみます。
実は疲れていたことに気づけた
普段のわたしのスタイルは、ごはんやお風呂などの生活タイム以外は、平日は基本仕事。土日はプライベートな時間もちゃんとあるけど、半日くらいはカフェに行ってパソコンを開いていることも多く、仕事が趣味みたいな生活を送っていました。それ自体は全然苦ではなくて、体力的に疲れたなと思うときはあってもメンタル的には元気でした。
…と思っていたけど、十分に休息してみて、やっぱりそれなりに疲れてたなということに気づけました(笑)。
表現が適切でないかもしれませんが、スタートアップってドーピングみたいなところがある気がします。心身の疲労があっても、それを上回るワクワクや刺激があるから、ついつい仕事をしてしまう。やっているときは本気で楽しいと思っているから、本人でさえ気づけない。自分はバーンアウトとか無縁だと思ってたんですが、そんなことはたぶんなくて、心の栄養をちゃんと満たしてあげることは大事だなと感じました。
ポルトでは壮大なドウロ渓谷の景色をみたり、すばらしいファドの演奏を聴いたり、おいしいごはんを味わったり、心を動かされる体験をたくさんして、すごく満たされた感覚になりました。せわしない日常から離れて、自然や異文化に触れたり、自分自身と向き合ったりすることの大切さを実感できたのが、一番よかったなと思います。
人生というスケールを俯瞰できた
普段の日常生活では、いつもなにかしら目の前にやるべきことがあって、短期的な目線で物事を考えがちになることが多いと思います。
積読してたなかの一冊に『イノベーション・オブ・ライフ』があったのですが、この本から人生に対する多くのヒントを得た気がします。
わたしは現職が3社目で、これまでキャリアを戦略的に考えたことがなかったのですが、それはある意味正しくて、自分がモチベーション高く衛生要因も満たせる仕事を創発的に見つけるプロセスだったのかなと。それがいまの会社で見つかったので、ここからは意図的な戦略が意味をなす。この本では「意図的戦略と創発的機会のバランスが大事」と紹介されているのですが、そういう捉え方で今後のキャリアについても考えてみようと思いました。
またプライベートを含めて、人生という「時間」の使い方を考え直す機会にもなりました。
一番の変化としては、もっと身近な人と過ごす時間を大切にしようと思いました。これまで心の赴くままにバリバリ仕事してきたけど、人生から俯瞰して考えるなら、仮に100歳まで生きるとして3分の1が終わろうとしています。まだ先は結構あるなと思ったときに、いま、どういう時間を使うと人生が充実するのか。それをぼんやり考えながらヨーロッパの旅行者を眺めていて、おじいちゃんおばあちゃんが仲良くふたりで来てたり、小さい子連れの家族も多かったり、幸せに満ちた空気を感じるなかで、子どもがいるっていいなという気持ちになりました。
「いま」を重視しすぎると人生における優先度がわからなくなることもあると思うので、こうして人生についてゆっくり考える時間が取れたことは、わたしにとってとても貴重な機会でした。
自分がいなくてもチームは回る
事前の引き継ぎと半日のワークタイムを取ったとはいえ、自分が対応せねば回らない仕事はほぼありませんでした。通常業務はほぼ手離れできており、ちゃんとチームになったなという実感が湧きました。
この状態は1年前までは考えられなかったです。2年前は1人で人事広報やってたのでまず無理だったし、1年前もPRのメンバーは増えたけどHR業務は引き継げる相手がいなくてやはり難しかったと思う。今年4月にHRのメンバーが2人増えて、自律したチームができ、本当に助けられているなと感じました。
また休暇をきっかけに、引き継ぎが進んだ業務もありました。他の人でもできるけど、なんとなく自分が対応していたものもあったので、結果的にチームメンバーの業務機会が広がる部分もあったかなと。逆にオフボーディングや一部の制度運用など、手離れできてない/手離しづらい業務も客観視できたので、今後は徐々にできる人を増やしていきたいと思います。
また、チームになったときに、わたしが果たすべき役割や発揮すべきバリューってなんだろう?ということも改めて考えたりしました。
わたしはHR/PRチームの職能代表という職責を担っているのですが、いまは明確に役割定義がされているわけではないので、戦略とリソース配分、チームづくりなど、いわゆるマネジメントっぽいことを試行錯誤しながらやってきました。でも、自分はどんなリーダーになりたいんだろう?とちゃんと考えたことがなかったので、本を読みながら思考を深めることにしました。
そもそもマネージャーとリーダーの違いをきちんと区別して捉えることができてなかったのですが、この『リーダーシップの旅』という本がすごく勉強になりました。(特にスタートアップのマネージャーにおすすめです。)
「どういうリーダーになりたいか」については、もう少し思考を深めてからまとめたいなと思うのですが、個人的に参考にしたいなと思ったポイントは「わたしが私でいる」という自負と「一人称の主語で出発すること」「火消しがうまい人ではなく、火をおこせる人になること」です。
「ソース原理」も改めて書籍でしっかり読んでみたのですが、「すべてはアイデアを実現するためにリスクを負って最初の一歩を踏み出した一人から始まる」はまさにリーダーシップの話とシンクロして、わたしもHR/PRというコーポレートコミュニケーションを司る領域において、もっとビジョンや美学を磨きたいなと思いました。ここに関しても、サバティカル休暇中に解像度があがってきたので、また別のnoteに書きたいと思います。
やってよかった / もっとこうすればよかった
やってよかった
半日ワークタイムをとったこと
これはメリデメありますが、今回の滞在は、午前中だけ仕事・午後はフリータイムの形にしてよかったと思ってます。
理由としては、キャッチアップコスト低く業務復帰できるから。事業や組織の変化がものすごく早いので、個人的にはちょっと仕事するくらいの方が、復帰後を考えると精神衛生的によかったです。
事前にNotionで引き継ぎ事項や旅のスケジュールを共有し、GoogleカレンダーにもWork Timeを明示してたので、業務上のコミュニケーションもスムーズでした。
「問い」をもって本を読むこと
休暇前は「積読解消したい」くらいにしか思ってなかったですが、積まれてた本を乱読するのではなく、はじめに思考を深めたい方向性を決めてから選書するやり方がよかったです。
わたしは今回、「どんなリーダーでありたいのか?」「どんなチームをつくりたいのか?」「ガウディでどんな採用を実現したいのか?」という問いを立てました。本を読むとまた深めたい方向が発展してきて、積読されてない本も新たに購入して読みました。
当初考えてた「AIと編集の自由研究」は結局しなかったのですが、ゆっくり本を読んで思考を深める時間はとてもよかったです。
心が惹かれるものに片っ端からトライすること
せっかくなのでポルトという街を満喫しようと思い、思いつく限りのことをやりました。ドウロ川のクルージング、ファド、ワイナリー見学、名物料理、大聖堂や教会…。街を一望できる展望台には、日中・サンセット・夜景の全部みてみたいと思い、3回いきました(笑)。
表現力が乏しいのですが、いろんな体験をしてみたことで世界は広いな〜って感じました。普段の日常生活はほんと狭い世界だなと。心身のリフレッシュにめちゃくちゃなったので、お金ケチらずなんでもやってみてよかったです。
もっとこうすればよかった
結果的にワークするにしても、基本やらないスタンスでいく
よかったことの裏返しになってしまうのですが、半日ワークする前提でいくと、そこに収まらない日がたまに発生するのでw、結果的にワークするにしても、ミーティングは入れないなど基本やらないスタンスでもよかったかなとは思いました。
とはいえ「半日はワークタイム」を明示したことで相談しやすくもあったと思うし、一長一短かな。またサバティカル休暇を取れる機会があれば、次回は基本仕事しないスタンスで行ってみたいと思います。
期間はもう少し長くてもよかった
3週間でも十分なリフレッシュになったのですが、数ヶ月とかもう少し長い期間あれば、もっと色んなことができそうだなと思いました。
自分だったら、なにかしらのテーマを研究してアウトプットしたり、中南米とかアフリカとか大陸縦断しながら旅してみたいな〜とか思いました。それには数ヶ月あるといいなと思います。
サバティカル休暇の支援金があると嬉しい
これは制度に対するMoreなのですが、移動費や現地での生活費などまぁまぁお金かかる(しかも円安がつらい)ので、サバティカル支援金とかあると後押しになるかもなと思いました。
あと、サバティカル休暇を送り出すチームの人も業務負担が増えると思うので、チームに対してもなにか報酬あるといいかもなとか。
今後のために提案します(笑)。
快く送りだしてくれた人たちへの感謝
さいごに、サバティカル休暇に快く送りだしてくれた、チームやGaudiyのみんな、家族に感謝をお伝えしたいです。
特にチームのメンバーには、業務を引き継いでもらったりして、本当にありがとうございました。休暇に入る直前には、チームランチで嬉しいサプライズもしてくれて、本当に嬉しかったです!
また、報酬制度の一形態として「サバティカル休暇」を取り入れてくれたHRのAbeさん、承認してくれた代表の石川さんもありがとうございました!「もっと期間伸ばしていいっすよ」っていうラフさが好きです(笑)。今後は福利厚生の制度としてプロトコルチームが検討してくれると思うので、ぜひ正式導入を推したいと思います。
あとは「3週間ポルト行ってくるわ!」って事後報告になったけど、文句を言わずに送りだしてくれた夫にも感謝です。ヨーロッパを旅して家族に対する価値観も少し変わった気がします。いつも楽しませてくれてありがとう。
いつも周りの人に支えられてるな〜とふり返る時間にもなりました。
まとめ
総じて、めちゃくちゃいい体験でした!
「大学教授みたいにサバティカル休暇したいな〜」と思ってた念願が叶いました。検討中の企業のみなさまにもオススメします。Gaudiyとしては、これからサバティカル休暇制度の詳細を詰めていく段階なので、被験者として、今回の実体験をフィードバックしてより良いものにしていきたいです。
また、サバティカル休暇ではなかったとしても、心身を休ませてリフレッシュすることの大切さをとても感じたので、Gaudiyのみんなには積極的に休暇を活用してほしいなと思います。
個人的には2年に一度くらいサバティカル休暇したい!次はキューバとか行きたいな〜〜🇨🇺🏖
そんな感じで終わります。サバティカル休暇が気になる人、サバティカル休暇を取得できるガウディに興味ある人、よければ雑談しましょう!