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おっさんの暴走が止まらない#1

子どもを預けて電車に乗っていた。座席は埋まっていて吊り革にゆとりを持って立てる状況。

ふと嫌な予感がした。隣の60〜70代の男性の距離が近い。こういう時は痴漢等に遭う確率が高い。

私の電話が鳴る。子どもの預け先からだ。出ないわけにはいかない。

受話器を口に近づけ手で覆い「はい、そうです。それでお願いします」と小声で応対した。30秒程。

数分後、また電話が鳴った。もう一人の子どもからだ。家の鍵を忘れたと言う。

「今日はママ遅くなるからバーバの家で待っててね。暗くなるから車で迎えに行くからね」と伝える。1分30秒程。

カバンの中からiPadを取り出し入力していた(当時はスマホを持っていなかった)。

「おい❗️おい‼️」さっきの距離が近い男性に呼ばれた。

「はい?」

「電車で電話してるんじゃねえよ❗️皆の迷惑になるだろうが‼️」

嫌な予感的中。地味で小柄な外見の私は、こういう加害欲剥き出しのおっさんによく絡まれる。ふざけんなよ!

「何かご迷惑をお掛けしましたか?」

「俺は別に平気だったけどよ、ペースメーカーつけてる人だったら大変だろ⁉️大体電車の中は携帯の電源切れって言ってるだろうが‼️」

「それを言うなら皆さん携帯でゲームしてるけどそっちは言わないわけ?ほら。」座席に座っている乗客は見事に皆ゲームしていて、関わりたくなさそうに目を逸らした。

そりゃ私だって分かってるよ。電車内で通話はマナー違反だって。

でもそれで鬼の首でも取ったように威嚇してくるおっさんが嫌だった。

「ゲームしてるだけで電話してないだろう⁉️おめえは何度も電話してただろうが‼️」

私のスイッチが入った。おめえだと⁉️

「ペースメーカーが問題だったら携帯の電源入れてること自体が問題だろうが‼️

そっちには注意できないのに私に絡んでくるのは私が女だからだろ⁉️情けねえ奴だな‼️」iPadの録画機能をonにした。

1m位離れた女子高生が「なにあのおばさん!」と笑っている。

しかし背の高い30歳位の男性がそっと私の後ろに移動してきた。

私が暴力を振るわれそうになったら止めてくれるつもりだろう。

「電話するなら(ちょっと電車の中なので切ります)と一言あれば俺もこんなに言わなかったんだよ❗️それがなかったから言ってんだよ‼️」

「そんなわけないだろーが❗️おめえは私が弱そうな女だから言ったんだよ‼️男だったら言わねーだろ⁉️」

「このアマ‼️」おっさんが手を振り上げた。

私はiPadでおっさんの顔を録画しながら振り下ろされるのを待った。


結局おっさんは手を振り下ろせなかった。

そこまでの度胸はなかったのだ。そうだと思った。そこまで度胸がある人はこんな弱い女を狙って絡んだりしない。

おっさんはただ弱そうな女に絡んで「すみません、すみません」と言わせて優越感と支配欲に浸りたかっただけなのだ。

弱そうに見えても、殴られる覚悟で「言い返してくる女もいる」ということが全く頭になかったのだろう。

女でも金髪に染めて露出バリバリで胸元や太ももに入れ墨入ってたら言わないだろう。

目的地について歳上の友人に事の顛末を話した。

「全く花さんたら😆でも最近怖い事件も多いから気をつけてね」と心配してくれた。

私は少し腹が立った。

あなた方がやってくれなかったから、今私がやるしかないんじゃないか!

私が今やらなかったら、次の世代の女性が同じ思いをする。それは絶対に嫌だ。

私だって怖かったよ。しばらく震えが止まらなかった。

後ろに移動してきた背の高い男性の気持ちも助けになった。

おっさん、いい勉強になったな。

フェミニストはテレビで演出されているようなギャーギャーうるさいおばさんだけじゃないんだよ。

日々の生活の中でも未来を見据えて体を張って闘っているんだ。

そしてそれを理解してくれる男性も増えて来ている。

時代は変わって来ているんだよ。


あの笑っていた女子高生もいつか私が言っていた意味が分かってくれるといいな。

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