【ビジネスにも応用できる】心理カウンセリング手法 ソリューションフォーカストアプローチを解説
こんにちは。メーカー人事・コーチのはなごえです。
私は普段、人事の仕事をしつつコーチとしても活動しているのですが、2020年12月からソリューションフォーカストアプローチという心理カウンセリング手法のトレーニングを受け始めました。
ちなみにソリューションフォーカストアプローチは「解決志向アプローチ」「解決構築アプローチ」とも呼ばれることもありますが、ここではSolution Focused Approachを略してSFAと表記します。
トレーニングを受け始めたばかりなので、まだ本格的な心理カウンセリングをすることはできません。
ですがこのSFAという考え方の応用範囲が広く、ビジネスシーンで活用したいと思っている私にとってとても役に立つものだと思ったのでシェアします!
SFAってどんな手法なの?
従来のカウンセリング手法は「問題には原因があり、原因を取り除くことで解決できる」という考えに基づいていました。
具体的には、カウンセラーがクライアントの問題や原因を詳しく聴いて、臨床心理の知識に基づき原因除去のために介入していく、というものです。
医者が、腹痛の原因はウィルスだと診断して、ウィルスを撃退する薬を処方するのと同じアプローチですね。
一方SFAでは、問題や問題の原因には注目せず「問題の代わりに何が起きたら良いのか?(クライアントが望んでいること)」と、望んでいることを実現するために「できていること(できたこと)」を引き出し増幅させるよう支援する、というアプローチです。
SFA面接のイメージ
次のようなイメージで面接を進めていきます。(すごーく単純化しているので、これがSFAの全てだと思わないでください!)
※CO:カウンセラー、CL:クライアント(相談者)
CO:今日はどんなご相談でいらっしゃいましたか?
CL:会社に行くのが辛くて…。
CO:そうすると、○○さんとしてはどうなれば良いですか?(望んでいることを聞く)
CL:この辛さがなくなれば良いのですが…。
CO:本当にそうなると良いですよね。では、もし会社に行くのが辛くなかったとしたら、どんなことが違っていますか?(実現に向けた第一歩のヒントを探す)
CL:そうですね…朝目覚めが良いかもしれません。
CO:いいですね。他にはありますか?
CL:朝ごはんを食べたくなると思います。今は朝、食欲がないので。
CO:なるほど。それでは、最近ちょっとでも目覚めが良かったり、朝食欲があったりしたことはありませんでしたか?(できていることを聞く)
CL:う~ん……………そういえば、3日前は朝ごはんを食べました。
CO:いいですね。朝ごはんを食べることができたのは、どんなことが良かったのでしょう。(望むことに向けて役に立ったことを探す)
CL:どうしてでしょう………うーん…あ、その日はたしか大好きなマンガの発売日で仕事帰りに買って帰ろうと思ってて、それが楽しみでしたね。
CO:CLさんはマンガを読むのが好きでしたもんね(カウンセラーは趣味や得意なことも雑談などを通して聞いています)。他にはどうですか?
以下、続く…。
問題の原因探しをしない
気づいたかもしれませんが、カウンセラーは問題の原因を聞いていません。
そのかわりに、クライアントが望んでいることを聞いた上で、それを実現するために何をすれば良いか考えるための材料を探しています。(SFAでは「ウェルフォームドゴールづくり」と「リソース探し」といいます)
なぜ問題の原因を深掘りしないかというと、いくら深掘りしても原因にたどり着けなかったり、原因がわかっても取り除くことができなかったりするからです。
例えば上の例の場合、
なぜ会社に行くのが辛いのか? → 仕事がうまくいかないから → なぜ仕事がうまくいかないのか? → 上司との人間関係が悪いから → 上司との関係が悪いのはなぜか? → うーん。。。
というように原因探しの泥沼にハマってしまうからです。
これでは悪いことばかりが思い浮かんでしまって、楽になりたくてカウンセリングに来たのに落ち込んで帰る、という結果になりかねません。
たしかに、問題の原因は除去できないかもしれません。
でも、代わりに望んでいることとそれに向けてできていることを積み上げていくことで、生活の中に問題の原因があったとしても、望んでいること・できていることが占める割合が増えていけば問題が気にならなくなって前を向くことができる、というわけです。
ビジネスでの応用範囲が広い
もちろん、問題の原因を探して除去するアプローチも必要です。でも、それではうまくいかない問題も仕事をしているとたくさん出てきますよね。
そんな時にこのSFAの考え方を使ってみると何か打開策が見えてくるかもしれません。
・1on1
最近1on1を導入する企業が増えていますが、「部下から解決が難しいことについて相談されて困る」という声も耳にします。
そんな時には問題に焦点をあてないSFAの考え方がマッチしますよね。
例えば1on1の相手が問題ばかり話している時、「それじゃあ、その問題の何がどうなれば良いですか?」と聞いてみてください。するとおそらく「○○(という問題)がなくなれば良いですね」と答えるでしょう。そうしたら、「○○の代わりにどんなことが起これば良いですか?」と聞いてみてください。それに対する答えがその人の望んでいることです。
あとは、望んでいることに向けて何をすべきか一緒に考えると、話が前向きに変わります。
・チームビルディング
チームは人の集まりである以上、何かと問題が起きますし、チームをよくするためにはどうすれば良いかと話し合っても、問題を取り除くことに話が偏り、上記のように原因探しの泥沼にハマってしまうかもしれません。
SFAを応用したグループワークでは、チームの強みや長所に焦点を当てることで、チームで達成したいことやチームが望むあり方に向けて進むための話し合いをポジティブなものとすることができます。
そして、チームメンバーで話し合って決めたアクションを全員で実施することで同じ方向を向いてチームがまとまるきっかけとなっていきます。
・新製品・新規事業の企画
SFAでは問題や問題の原因に焦点を当てず、望むことを実現するためにできること、使えるもの・こと、協力してくれる人などを探しながら、望むことまで確実に達成できるステップを踏んで解決を構築していきます。
例えば新製品を開発する時にSFAの考え方を応用すれば、「こんなことしたい」という目標があって、それに使える既にある製品や協力してくれる他社などを探しつつ、開発完了までのステップを検討しながら確実にプロジェクトを進めていくことができるのではないでしょうか。
以上、SFAが応用できそうなシーンを考えてみましたが、きっと他にもあるはずです。
今後も思いついたら追記していきたいですし、この記事を読まれた皆さんからもアイデアをシェアいただけると嬉しいです!
ツイッターもやってます。