カレーの柱となるべきもの
足も痛いし、外は雨なので、
カレーを作ることにした。
本当は足が痛いのは関係ないし(そりゃそうだ)
外が雨なのも関係ない(やっぱり)
なぜカレーが作りたくなったかというと
水野仁輔さんのカレー本
「私だけのおいしいカレーを作るために」
という本を読んだからだ。
この本はカレーを作りながら
スパイス、スープ、玉ねぎという
カレーの柱となる材料にまつわる
エピソードなどを交えながら語られ、
読む本としても、とても面白い。
朝、暴風雨の激しい風の音がとどろくなか
ソファーに寝転びながらこの本を読んでいたら
唐突に作りたい衝動が暴風のように吹き荒れた。
ちょうど、子供達も起きてきて
買い物に行きたいというので
9時の開店と同時に生協へ入った。
骨付きのモモ肉を購入し、
さっそく、マリネする。
なんだよマリネって?
いや、こういうと通っぽいかなあ
と思って使ってみたけど
私もこの本で初めて知りました。
3本柱の内、スパイスは全部揃えると
外で食べた方が遥かに
安くつくことになるので
万能カレースパイスのガラムマサラに
一手を担わせることにして
後は家にある、よくわからない
スパイスだけで作る事にした。
3本柱のもう一つスープは、
以前、丸鶏を買ってきて鶏ガラから
スープをとったこともあったが、
丸鶏を買ってくると、人気のない
ムネ肉が大量に余るので(ヘルシーなんだけど)、
今回は万能スープのブイヨンで代用。
ブイヨンを入れれば、簡単に
ある程度、味がまとまるけれど
やはり、あのキューブ状の中には
何が入っているのかよくわからないし
有酸素運動家として手がける料理としては
丸鶏から手間をかけてスープをとりたいところだ。
3本の柱のうち
さっそく2本が、か細いものになったので
玉ねぎだけは気合を入れて炒める。
飴色になるまで根気強く炒め続ける。
これが、いやだ面倒くさいという人は
おそらくマラソンを走り切れない。
そう断言できるぐらい、地味で
シンプルで、根気のいる作業だ。
「ちょっと、お父さん、
玉ねぎ飴色になるまで炒めて」
と奥さんに頼まれて
ホイホイホーイなんて軽い気持ちで
キッチンに立ったらエライ目にあいますからね。
手首は痛くなるし、
目は染みるし、
瑞々しさが残ってても怒られるし
焦がしても怒られる。
飴色≠焦げ色の境目がどこなのか。
という問題は、
筋肉痛≠故障の境目を見極める事に
ちょっと似ている。
飴色にクタクタになった玉ねぎに
ショウガーとニンニクを入れる。
トマトもすかさず投入。
トマトの水分もとばしたところで
カレー粉をなじませるように入れる。
勢い余って鍋の外に飛び出た
このカレーぺーストの原型を
ちょっと口に運んでみる。
うまいやないかい。
1本の柱だけで
しっかり立っている竪穴式住居やないかい。
それにあわせて、
マリネした骨付きチキンをオーブンで焼く。
オーブン皿の上にたまった
肉からでた脂をどうしようかなと思ったが
もったいないので脂ごと
カレーペーストの中に投入。
ブイヨンスープもそこへ注ぎ入れる。
さらにここからコトコト煮込んで
一晩おいて、明日食卓にあがる。
まだ塩をいれていなので味気ないが、
この時点で十分にうまそうな匂いが
立ち込めていた。
しかし、鼻覚にバーモントカレーの
履歴しかない子供達には異臭でしかない。
「くさい、何この臭い。」
おそらく本格スパイスカレーの
代表格クミンの香りだ。
成分表示を読むとクミンは
ガラムマサラにもカレー粉にも入っている。
私はこのクミンの匂いが大好きだ。
一度ローストチキンを作った時に
クミンを入れたら、
子供たちはほとんど手を付けなった。
・・・事を、今思い出した。
でも入れたものは取り出せないのだよ。
母親の料理は、子供目線。
オヤジの料理は、完全自己満足。
しょうがない。
生クリームとバターを明日買ってきて
味をまろやかにするか・・・