ベイシック・エンカウンター・グループを体験する
先日、happylaboさんがPCAGIP法を体験された話を書かれていて、この技法は気になっていたので非常にためになったのと、その講座が開催されることも知っていたので「ぬおぉ、参加すればお会いできたのかっ!」と大後悔しました。後悔はともかく、私もベイシック・エンカウンター・グループ(以下BEG)を体験したので記しておこうと思い立ちました。
産業カウンセラーはC.ロジャーズのパーソンセンタードアプローチを大切にしています。傾聴の技法が有名ですが「聞くだけのやつでしょ」などと曲解されてしまたため、後年のロジャーズはあまり技法の話をしなくなったと聞きます。
そのロジャーズが1940年代に考案し、60年代に発展したのがBEGです。
『1969年にカール・ロジャースのもとに留学した畠瀬稔・畠瀬直子夫妻が日本に導入・紹介し、1970年に日本で初めて実施された』とWikiにあります。
今回の講座は、1日9時間×2日間、1グループ8~9人にファシリテーターが1人つく形で行われました。グループ分けはなるべく知らない人同士にしているそうで、先月ライブカウンセリング&事例検討した講座で、私がカウンセラー役だった時のクライエント役の方は別のグループでした。逐語検討のグループ分けもそうなので、事務局も大変ですね。
カウンセラーの基本態度として「受容・共感・自己一致」があり、この自己一致のための自己理解・自己受容の能力、他者理解・他者受容の能力、自分を客観視する能力、グループ内で信頼関係を築く能力を養い、人間尊重・信頼の価値観を涵養するための有用な方法の一つがこのBEGとのことです。
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実際どのように進むのかというと、9時から19時まで、昼食を挟んで話します。話題に制限はありません。カウンセリングと違って、共感的理解は求められていませんが、湧き上がってきた自分の感情、そこから考えたことなどをシェアしていきます。これを土日の2日間で行いました。
誰かが困り事を語ると「はい、同じ経験をしました」と語ったり、私の場合はこうですと言ったり、アドバイスがあったり。産業カウンセラーは自己開示する機会が多いので慣れてはいますが、それでもどこまで話すかは自然と線引きしているものかもしれません。思ったより喋っちゃった、という人もいました。
私は、日頃の演習でもクライエント役の時に何を話そうかな~と困るタイプなので(まあ、封印していることはありますよ、きっと)ここ1年ぐらいの退職までのことと、並行してなんだか凄いタイミングでさくさく立ち上がったジュエりんごの話をしてみました。
するとですね、思いがけなくコンプリメントを沢山頂きまして。凄いのは
「クランボルツのプランドハプンスタンスを体現していますね!」
でした。確かに細々と続けていたことが何かのきっかけでひょいっと決まったりはしていますが、備えていたわけでも……と驚きました。
「(辞めた会社に対して)未練なくサヨナラって潔い」
「捨てるからキャッチできるんだよね」
「(何事にも不安がないので)不安よりリアルなんだね」
「まずはやってみる、ってなかなかできないよ。勇気要るよ」
そうかなぁ?と言うと、ここがこうだからそう思ったのだ、と根拠が返ってきます。カウンセリングの見立てとはもう一歩踏み込んでいる感じ、と言うと語弊があるかしら。どうでしょう。もう少し人間的?人間臭い?
解決するためのものではないのですが、違った視点が入ってきて良かったと言う人もいました。ちょっと話してみたら経験者が3人ぐらいいたとか、専門家がいたとかいう例もあり、それは解決の糸口になったかもしれません。
思ったより喋っちゃった、このグループなら大丈夫だと思ったからもっと深い話をした、等の根底には、心理的安全性があるでしょう。がっちり守秘義務で守られていて(※)話したことは口外されないからです。そして、語り合うにつれ信頼感も増したのかなと思います。
(※自分の話はOKですので、上に一部書いています)
コミュニケーションにおいて「Iメッセージ」と「Youメッセージ」がありますが、”I”だからかもしれませんね。その話を聞いて「私はこう思った」は誰にも覆せませんので。
通常の講座は10時~17時ですので3時間も多いわけですが、いつもの2日間、3日間の講座の疲れとは少し違ったスッキリ感がありました。また参加したいかと問われれば「もう少し時間が短くて、もう少し身体の負担がない椅子だったら」かな……。
ちなみに、事前に送られてきた注意事項に『セッション中の茶菓の飲食は自由』とあったので、これはおやつを持って来いという意味?と思ったら、なんと用意されていました!こんな講座は初めてです。感じて言語化するから右脳も左脳もフル回転、糖分が沁みました。
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畠瀬ご夫妻が翻訳された本が参考図書でしたが、絶版のため「図書館にでもあれば読んでみたら?」ぐらいで課題図書ではありませんでした。
たまたまamazonでお安い中古品を見つけてget、ところどころ線が引いてあったりはしましたが、絶版本は手放せませんね。
最後に。なぜこれを記事にしたかといえば、これから2000字のレポートを書くにあたって少し書き出してみようと思ったからで、既に2000字を超えているのですが ── レポートにするには考察が足りないようで。とほほ。
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