配属ガチャと言うなら
出た~、配属ガチャ。希望の部署に配属されなかったから辞めたいって?
そうですね、だったら辞めて起業すると良いのではないでしょうか。会社というものがどのような機能で成り立っているのか、実感できると思いますよ。
会社員というカテゴリを選択した時点で、配属先は希望通りにならないし、最初はたとえ希望通りだったとしても異動がつきものです。異動どころか転勤かもしれません。
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かくいう私も、新卒で入った会社では全社管理スタッフを希望したものの、配属先はとある製造事業部の事業計画。全社ではありませんでしたが、一応その事業部の長(後で事業部長と役員の間の微妙な地位に昇格)の秘書業務も兼務だったので、秘書室の方でなくてもまあいいかと思いました。
ところがですよ。やってみると結構面白いのです。自分が通した伝票が社内をどのように回っていくのか、モノの流れ、お金の流れがわかってくると特に。事業計画で予算・実績を見ていたのは、事業の様子が手に取るようにわかって面白かったです。小ぶりながら開発から販売まで持っている事業部だったので、開発の進度を共有・調整する会議も主催(補助)して、製品のことも覚えていきました。
結局、少ない知識とイメージで希望した配属先だった、とわかったのです。会社の仕組み、社会のルールなどが身についてきた3年目ぐらいから、俄然楽しくなってきました。3年は我慢しろとはこのことか、とも思いました。
学生時代の自己理解も、仕事理解も浅いものなのです。目の前の仕事もしないでヤダヤダと駄々をこねるより、与えられた仕事をさっさと済ませて
「もっと下さい!もっとできます!」
と示す方が、近道ではないかと思いますよ。
この後、ひょんなきっかけから全社スタッフ部門へ異動します。秘書室の秘書という小さな夢は叶うのですが、事業部の様子が手に取るようにわかった頃と違って、スタッフ部門に異動したら事業のことがわからなくなってしまいました。情報が集約され過ぎて単なる数字と化し、躍動感がないのです。
異動前の部署の人と会うと
「君がいた頃の〇〇(機種)、月間3万台ぐらいだっただろ?」
「そう…でしたね(作成していた経営会議の資料を思い出して)」
「今、5万台よ!凄くね?」
みたいな事を知り、それはそれは面白い体験をさせてもらっていたのだな、と気づきました。
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全社管理部門の中でも異動し、総合職転換して、転勤もして、色々経験してきたなと思います。1社にいても2回転職したぐらいのインパクトはありました。
この会社はもう無く、希望退職で辞めました。最初に配属された事業部は、客先と会社を作って独立しています。
いち早く希望退職に手を挙げましたら、最初の上司が
「スタッフ部門に異動したのが嫌だったか……?」
と恐る恐る聞きました。いえいえ、良い経験しましたよ!
転勤前の上司も
「転勤が引き金になっちゃった……?」
と恐る恐る聞きました。いえいえ、やりたい事がありますので。
これをクランボルツ&レヴィンのプランドハプンスタンス理論に当てはめると、目の前の仕事をこなしつつ、好奇心からネットワークを広げ(職場の野球チームのマネージャー、華道部、茶道部、着付け、英会話、海外旅行、弓道)続けていたこと(英語)の芽が出て声がかかり(海外人事へ異動)流されながらも最後は自分で選択(退職→新たな勉強)できたのでした。
だから最初の配属なんて「流されて」で良いんじゃないでしょうかね、と思うわけです。