【美術展】ヴァロットン ー 黒と白
三菱一号館美術館で二度目のヴァロットン。
私の出会いは、東京都美術館のオルセー美術館展（2007）で展示されていた《ボール》という絵でした。
ボールを追いかける子供と少し離れた所に立つご婦人方の絵で、無邪気だけではない何かが印象に残りました。それが複数の視点から描いているという構図によるものらしいと、後になって知りました。
2014年に三菱一号館美術館がヴァロットンの回顧展を開催し、これがヴァロットンをきちんと知るきっかけになり、ナビ派の勉強にもなりました。この年は日本・スイス国交樹立150周年記念で、スイスの美術館のコレクション、スイスの画家の作品を観る機会にも恵まれました。
この展覧会は『美術館の舞台裏』、三菱一号館美術館の館長が書いた本にも記述がありました。思わず「ありがとう、三菱一号館美術館！」と叫びたくなりました。いや多分、叫びましたな……。
この時、ヴァロットンの黒使いにすっかり魅了されてしまったのです。
絵画のコントラストもさることながら、風刺の効いた白黒の版画が素晴らしく、今回は三菱一号館美術館の版画コレクションを一挙公開と知って楽しみにするあまり、またマジックアワーのチケットをせっせと取るのでした。
正規料金で1回観るなら、マジックアワーで2回行くわ！という意気込みです。
すっかり前置きが長くなりましたが、2000文字のレポートでヒーヒー言っているのに、前置きで500字超えるとは一体何なのでしょうか。愛？
撮影可の部屋がありましたので、その様子から。シャネル展の時もこの部屋でしたね。
この部屋の後半に、死がテーマの一角がありました。
ちょっとボケていますが…
チラシにある《暗殺》もなかなかセンセーショナルでしたが、私はこの《難局》がいいなと思いました。ありそうな場面ですが、そこを切り取って版画にするか！という驚きが良いのです。
全体の構成は以下の通りで、上の部屋はCHAPTERⅡです。
CHAPTER Ⅰ 「外国人のナビ」ヴァロットンー木版画制作のはじまり
CHAPTER Ⅱ パリの観察者
CHAPTER Ⅲ ナビ派と同時代パリの芸術活動
CHAPTER Ⅳ アンティミテ ： 親密さと裏側の世界
CHAPTER Ⅴ 空想と現実のはざま
CHAPTERⅣの〈アンティミテ〉は本当にもう、秀逸です。黒が映えます。
この後だったと思いますが、〈アンティミテ〉10作を少し動かして繋げた映像が流れていて、これがまた良かったです。その他、通路の隅にキャラクターが投影されて、隠れたり顔を出したり、瞬きしたりするのも、遊び心があって可愛いので探してみてください。
別の柄は女性の方でした
3F、2Fの展示室から1Fのショップに降りて、シマッタと思いました。
「シマッタ、好キ」です。散財の予感。
蕎麦ちょこの言い訳：一つ、口が欠けたものがありますので。
小皿の言い訳：だって以前、エジプト展のショップでヒエログリフで囲まれたケーキ皿を買わずに後悔したじゃない？あれ3,000円(税抜)、これ815円(税込)、悩む必要ある？
割れ物を包んでくれる人が、レジの人に読み上げる時、
「蕎麦ちょこ。猫ちゃんの方です。あと小皿、これも猫ちゃんですね。両方猫ちゃんです」
と、”猫ちゃん”連発していました。きっと猫好きさん。
《女の子たち》《嘘(アンティミテⅠ)》《公園、夕暮れ》
《入浴》《ユングフラウ》《公園、夕暮れ》
《驟雨(万国博覧会Ⅲ)》《愛書家》＆アンティミテの一筆箋
ポストカードは別売のフレームに合うよう、絵が少々小さめでした。フレームに合わせて何パターンかあって、なかなかお洒落でしたよ。
〈アンティミテ〉の10枚セットがありましたが、残念ながらもっと小さめ。
それは諦めたところ、右下の一筆箋を発見しました。これ、希少価値を高めるため、ある枚数を刷ったら版木を使えなくするのですが、シリーズ10点の版木を少しずつ集めて「ほらもう同じものは刷れないよ」と見せるようにしたものです。それすらこのデザイン性の高さ。
そう、なんだかヴァロットンの絵や版画は、それぞれがデザインなのですよね。特に版画はそうかなと思います。
2014年のヴァロットン展の時に、《公園、夕暮れ》のカードは買っていたようです。カード入れのどこかにいるはず……。ただ、今回のカードはシルエットだけのカードとセットになっていました。
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