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言語を操れ

こんにちは。

僕は日本語を使いますし、日本語の本を読み、日本語の文章を書きます。洋書を原文で読むことはありません。卓越した語学力がないからです。

先日、ドイツ語を話せる同僚と話すことがありました。それは、ヘルマン・ヘッセについてです。最近、ヘルマン・ヘッセブームが僕の中で再来してまして、読み漁っているのです。今年の目標の一つに、ヘルマン・ヘッセ読破があります。

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ヘルマン・ヘッセの文学について話していますと、彼曰く、原文で読む郷愁感と、翻訳されている本で読む郷愁感は全くの別物で、原文でしか触れることのできないところがあると。

ちょっと、悔恨する自分がいます。ヘルマン・ヘッセの世界観に触れられないとは・・・。ドイツ語を勉強すれば済む話なのですが、安直にはいかないでしょう。


さて、言語の壁は非常に高いものです。

以前記載しましたが、川端康成先生、三島由紀夫先生、伊藤整先生の会談でも、言語について触れられています。

川端康成氏を囲んで

川端先生 伊藤さんに聞きたいんだけれども、今度受賞でですね、審査、翻訳でやってますね。

伊藤先生 そうらしいですね。

川端先生 だから、僕は翻訳者にはおかげが非常に多いわけですけど、おそらく、いい訳だったと思うんですよ。

伊藤先生 そうでしょう、そうでしょう。

川端先生 それで、まぁ、翻訳ばかりじゃなしに、サイデンステッカーやキーンや、フランスの作家もそうですが、私をかなり応援してくれる人もあるんですよね。だから、翻訳者が半分もらったのか、三分もらったのですかね。分かりませんけどね。日本語で審査されていない。これ、非常に良心的には、辞退するのが本当かもしれない。

伊藤先生 そうですね。

三島先生 そんなとんでもない。

伊藤先生 しかしですね、私、賛成するわけにはいきませんですねえ。私ども、外国の諸国の文学を、私なんか英語を商売にした人間でも日本語で読んでいる。それで分かったつもりでおりますから、良い翻訳ということもですね。何と言いますか・・・。原作の再現をできるだけ忠実にやるということですから、日本語で読んでもらうチャンスはなかなかしばらくはないでしょうから。

川端先生 日本語訳ね。

伊藤先生 これはもう、そんな辞退するということを考えていただくと困ると思うんです。

川端先生 辞退はね、そんな深刻には考えないんだけど、まあしかし、そういう考えも確かにあるんじゃないかとね。

三島先生 それは、日本の作家の永遠の宿命ですね。

・・・。

孤立言語についての考察ですね。確かにノーベル賞の話になりますと、選評者に日本人がいなければ、日本語を読むわけにはいきません。孤立言語の宿命です。

川端康成先生の雪国は、翻訳も有名です。

原文 

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。

The train came out of the long tunnel into the snow country. The earth lay white under the night sky. The train pulled up at a signal stop.

なるほど・・・。言語の壁は高し。雰囲気がまるで違います。


その国々に多様な言語があり、不可視の感情を共有することができ、共感や同情を得ることができます。テクノロジーが進んでも、なくてはならないものです。言語は、古今東西で違っているから、面白いのかもしれません。

世情が平穏になり、海外旅行に行けるようになりましたら、ヘルマン・ヘッセが描いたドイツへ行ってみたいと思う今日この頃です。


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麗しい日本語発掘の旅は続く。


花子出版    倉岡



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