読書会〜そういえば読んだことない夏目漱石〜について
言わずと知れた文豪オブ文豪、夏目漱石先生。高校教科書に載っていた「こころ」「夢十夜」は読んだことがある。「坊ちゃん」も、読んだことがある。「我輩は猫である」は、完読していないけど、気まぐれにめくってみたことはある。
でも、正直その他の作品は、「読もう」と思わないとなかなか機会がない。タイトルだけは有名で、知っている。漱石さん以降、日本の近代文学の形が確立したとまで言われているのに、何がそう言わせるのか、正直よく分かっていない。
読書会をしたいなと思った時に、やはり最初に漱石さんはおおかた網羅しなくてはならない気がし、“そういえば読んだことない夏目漱石”シリーズと銘打ちまして、冒頭で出したメイン作品以外の漱石作品をこの際改めて読み込んでいこうと決め、2019年から参加者の方々と読書会を行いました。
個人的に漱石作品には引っかかるものがあります。
漱石といえば初期の代表作「坊ちゃん」ですが、この小説はかなり読んだ人によって感想が分かれると思います。主人公の「坊ちゃん」をどう捉えるのか。人によって違うのはもちろん、同じ人が違う時期に読んでも、また違ったものを感じ取れると思います。私は2回ほど読んだことがあり、最初の感想はあまり思い出せないのですが、2回目に読んだ時には「最初に読んだ印象とは違うな」と思ったのは覚えています。私は、「坊ちゃん」は世間に馴染めない悲しさを端正にすがすがしく描いていて、余計悲しいような微笑ましいような皮肉がキツいような、そんな気がしたのです。しかし、この小説は「痛快なストーリー、これぞ勧善懲悪」のような言葉で説明されていることが多くて、もちろんそうとも取れるのだけど、個人的には腑に落ちない。ということで、他の作品もたくさん読んでみたら「ああ、やはり漱石さんはこのことを書きたかったのだろう」という発見があると思ったのです。「坊ちゃん」の謎を腑に落としたい、というのが、この企画の始まりでもあります。
「坊ちゃん」
https://www.shinchosha.co.jp/book/101003/
この読書会に参加された方の背景的な知識もバラバラで(交遊関係上、演劇人が多いので若干そっち寄りの話が出てきてます)、学術的に調べ込んだらあっさりと解決することもあるかもしれませんが、とにかくそのへんは堅苦しく決めずに、読んでみた感想や疑問点を自由気ままに出したり、たまにネット情報を調べてみたりして、語り合ってみた記録です。
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