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英読書会-古川日出男 『平家物語 犬王の巻』

2022/5/6
参加者:英、TAさん、YMさん、TEさん

*「吉日読書会」…思い立ったが吉日なので開催する、ジャンルフリーの読書会。本を読んで好き勝手に感想を言い合います。

古川日出男 『平家物語 犬王の巻』
時は室町。天衣無縫の少年能楽師・犬王と、盲目の琵琶法師・友魚が育む友情は、かつて誰も見たことがない歌曲を鳴り響かせる。ふたりが奏でる最強のエンタメの行く末は…。

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https://honto.jp/netstore/pd-book_31286671.html (文庫)

●読んで楽しい小説。声に出して読みたい。
●戯曲だと思う。会話文がリズミカル。
●犬王が実在の人物と知って驚いた。
●2人の友情を育んでいくエピソードがもう少しあるのかも、と思って読んでいたので、イメージと違った。どう受け止めるべきか、少しもやもやしている。
●手塚治虫の「どろろ」を思い浮かべる。古川さん(著者)はイメージしていたのかも?「どろろ」では敵を倒すと体が戻っていくが、犬王は舞うと体が美しくなっていくところがおもしろい。しかし、美しくなれば犬王の物語は必要なくなってしまう、アイロニカルな結末。
●構成がとてもうまい。詳しく読み返したい。
●犬王が舞を舞うことで美を獲得してゆくのは、芸術家が(それまでは美とされていなかったところに)新しい美を作ってゆくというメタファーのようにも感じた。
●消えてゆく者への想い。能は世阿弥、琵琶語りの平家物語は覚一本に統一されてしまい、犬王と友魚は消されてしまう。(能は、勝負事だった。)平家物語の平家のお話は、語る人がいたから残った。そうでなければ、消えてしまっただろう。
●独創的なものを作る人へのリスペクトがある。
●盲目だからこその、平家を語る琵琶法師ということの信憑性を感じた。盲目の琵琶法師が「見えてきたぞ」というと、観客は本当に見えてるように感じただろう。
●猿楽と琵琶語りが補完関係にあったと思われる室町時代初期の興味深い様相を想像する。この物語のような感じだったかもしれない。室町初期に、琵琶の語り本「平家物語・覚一本」が、また猿楽で平家を題材にした劇が作られてゆく、平家の物語が必要とされた背景、時代の節目も考えさせられる。
●章の名前も気になる。同じ章名があったりもする。
●最後に友有は最初の名前「五百友魚」と名乗る。海中から、沈んでいた平家のもの(物語)を拾い集めていた自分の原点に戻り、それを誇る、というラストなのかもしれない。
●なぜラストは足利尊氏の墓前なのか。

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