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自己をコントロールする方法は、知っておいたほうが良い。
ある日、私は機嫌が悪かった。起きたら家に知らない人がいた。電気工事士とでもいうのだろうか、二人の男性だ。そんな人が来るなど、聞いていなかった。
悪いことに、同居人は全員出払うという。年頃の娘を知らない男たちと残すことに、躊躇してほしかった。
気分だか機嫌だか知らないが、とにかく調子が悪かった。寝起きのスエット姿で憮然としていた。髪もぼさぼさだっただろう。勿論、化粧なんてしているわけもない。
起きてすぐ、電気工事士の一人と鉢合わせしそうになった。不思議な感覚があった。顔を見た瞬間、パチッと電気が走ったような、ピリッとした感覚。今思えば、この感覚にもっと素直になるべきだった。
その時、彼も何か驚いた様な顔をしていた。同じ感覚だったのかもしれない。
しかし私は気分が悪かった。何度でもいう。機嫌も悪かった。
いつもの私は、大変に愛想が良い。お節介な大阪のおばちゃんに等しい。体重は、人の二倍以上ある。容姿に難点がある分、愛嬌でカバーしているのかもしれない。
彼ら二人には、自分でもびっくりするほどの塩対応だったと思う。調子が悪かったのだ。
二人は、先輩後輩の様だった。先輩は独特の髪型だった。こそこそと話をしているのがわかる。大分早い段階で、私は気付いていた。カンは悪くない。
先輩の方が、後輩を無事に追い出して、私に説明をしてくれた。TV関連の何かだった。説明が終わると、連絡先を交換しようとしてきた。
私は、調子が悪かった!
「いつも色んな家でやってんだなー。あ~私ってそんなに軽そうなのかー。遊んでそうに見えたかなぁ」
と考えた。
さて、あの手この手で連絡先を交換しようと必死な彼に、私もまたあの手この手で断り続けた。最終的に、彼の電話番号を握らされた。
帰り際に彼が「絶対電話しないでしょ」と言っていたのを覚えている。もちろん、しなかった。
しかし実は、ずっと後悔している。何故だか分からないが、印象に残っているのだ。あの格好でもし、本当に気に入ってくれたなら、貴重すぎる人だ。
よく考えてみれば、彼は勤め先をオープンにしている。本気の可能性も、あったと思う。調子の悪い私は、常習だと判断してしまった。勤務中なのだから、常習だと、ばれた時にまずいことになると思う。
当時も過眠の症状が酷い、精神病者だった。連絡したところで、どうなっていたかは分からない。でも、一種のチャンスだったのだ。私は、かたくな過ぎた。
今でも時々思い出す。ということは、心にまだしこりが残っているのかもしれない。一番の悔いは、チャンスを逃した、ということである。常日頃から、チャンスが来たら掴めるような生き方を目指しているはずなのだ。
もう少し、調子が良かったら。そう思わずにはいられない。
今日、こんな文言を見かけた。
「自分の機嫌は、自分でとろう」
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