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私の記憶の蓋

今年の3.11は、私の記憶の蓋があきました。

2011年に、
銀行SE時代、担当していた会社が被災して、システム導入が延期となりました。

その約2年後、再建した会社へのシステム導入をしに大船渡にいきました。

その地に近づいていくと徐々に、映画の中に入ったかのような風景。
ここまで海水がきたのだろうなと見受けられる、はっきりとした境界線。不自然な更地。

そんな中で、日常生活を送ってる人々。

とても印象に残ったのは全てが流されたであろう更地に、新たな緑が少しずつ芽生えていたこと。
そして、海岸沿いにそびえたつ奇跡の一本松でした。あの流されなかった一本松をみて、被災した人たちが希望に思うなにかしらのパワーを感じて、涙が湧き上がってきたのを覚えています。

先方の社長さんは、
私と先輩を、車でいろんなところに連れて行ってくれて、ずっと色々話してくれました。被災したときの話、逃げた話、逃げ遅れた人の話。

一泊でしたが、海岸あたりはとても宿泊できないと、内陸の遠野に素敵な宿をとってくれました。
(バイブルの代わりに遠野物語が引き出しに入ってる素敵ホテル)

遠野名物のジンギスカン屋さんでお酒をのみ上機嫌になった社長さんの顔、ジンギスカンのもくもくとたつ煙と、匂いと、ビールを飲まされすぎて私の胃の気持ち悪さと、その一瞬の風景を数秒切り取ったワンシーンのように、今でも思い出せます。

社長さんは、
こうしてこの地にきて、
話を聞いてくれるだけで、
とても救いになる。

またきてね。
またきてね。

と、別れるまで何度もおっしゃっていました。

あれから、10年近く経って、もうなんて会社なのかさっぱり忘れてしまったし、あの土地には行っていません。

この蓋、私、しめていたなって、ふと思い出しました。みんなそれぞれ、何かしらの影響をうけていると感じる。

地球の大きな揺らぎに触れるのがこわいような。
今年は行ってみようかなと。

うん。

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