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超短編小説(木谷のWeb会社説明会)

 文学部の校舎前の道には両端に桜が植えられていた。数週間後に満開になるこの桜は大学内の小さな名物だった。  木谷智也にとってはこれが4度目の桜だった。数日前から始めた就職活動がうまくいけばいいな、そう思いながら木谷はゆっくりと桜並木を歩いていた。  しばらくすると後ろから肩をたたかれた。振り返ると佐々木佑介が「よっ」と手を挙げて立っていた。木谷と佐々木は1年生時に必修だった語学の教室で隣同士になって以来、よく遊ぶ仲だった。  「俺、今度〇〇会社のオンライン説明会に参加しよう

    • 超短編小説(駐車券)

       財布に入れたはずなのにない。ズボンの両ポケットにも手を入れてみたが車の鍵とスマホ以外には入っていない。お尻のポケットにはいつかのレシートがぐちゃぐちゃになって入っているだけ。肝心の駐車券がどこを探しても見当たらない。  駐車券がないことに気づいた僕はレジ待ちの列から外れて、一度買い物かごに入れた品物をすべて元の場所に戻した。それから急いで車に戻り、5分ほど車内を探した。しかし駐車券は見つからなかった。  僕は諦めてスーパーの店員に事情を話すことにした。駐車券を無くすとど

      • 超短編小説(病院のアンテナ端子)

         バスの車内は冷房が効いていた。空いている席に座り額の汗が乾いてきた頃、僕は20年前の夏休みに体験した不思議な出来事を思い出していた。  僕はお母さんに連れられて病院にむかっていた。家からバスに乗って30分くらいのところにある大きな病院だ。僕はこの病院で生まれた。弟もこの病院でもうすぐ生まれる。  おじいちゃんは僕が小さい時にこの病院で死んだそうだ。だから僕にはおじいちゃんとの思い出がなかった。  バスの車内には僕とお母さんの他に、男の子とおじいちゃんが2人掛けの席に座っ

        • 超短編小説(夢見の面接)

           昨今ITエンジニアへの未経験転職を目指す若者は多い。夢見信二もその一人だった。  常に自身がなさそうに俯いている彼は体が小さく、声も小さかった。そんな彼が他者から評価される点といえば真面目さ、それ一つきりしかなかった。  夢見は何社かよさそうなところに応募書類を送ったが選考はなかなか通らなかった。そこで彼は転職エージェントに相談することにした。するとすぐに数件の求人が送られてきた。その中で特におすすめだと言ってきたのが○○社だった。  「この求人は夢見さんにぴったりですよ!

          どうしたものか。

          前回の投稿から8ヶ月も動いていなかったですが、 いろいろと僕の生活に変化があったので久しぶりに投稿しました! タイトルにある通り、僕の人生絶賛どうしたものか。な状態です。。。 どういう状態かというと、就職先が見つかっていない状態で、働いていた会社を辞めました。正確には2月末で退職で、今は有給消化中です。 小説とは全く関係のない仕事をしていたのですが、拘束時間が長く、執筆活動をする余裕のない日々が続いたのでやめることにしました。 執筆に充てる時間が増えたことは嬉しいですが

          どうしたものか。

          やりたいことがいろいろあると、どれも中途半端になって消化不良な状態が続くんです。 noteを初めて少しでも変化が起きれば良いのだけれど。。。

          やりたいことがいろいろあると、どれも中途半端になって消化不良な状態が続くんです。 noteを初めて少しでも変化が起きれば良いのだけれど。。。

          何を書けばいいんだ

          何を書けばいいんだ