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栗のお菓子をいただきました

 知人から栗のお菓子をいただきました。栗と言うのは元気をつけ、胃腸の調子を良くし、生命エネルギーを補い、体力をつける食物とされています。中国では昔から生薬の一つとして利用されているようで栗子(りっし)とよばれます。しかし日本薬局方には生薬としては収載されていません。ですから漢方エキス剤で栗にあたるものは含まれていないこととなります。

 人は昔からその時々に手に入るものを食べたり飲んだりしてその命を保ってきたものと思います。ですからその季節の食べ物をいただくと言うのは体にとって好ましいものだと思います。私は主に漢方エキス製剤のことを書いたり述べたりしていますが、健康で暮らすための基本は養生であり、必要なものをきちっと食すると言うことであろうと思います。薬膳とまではいかなくても、季節の新鮮な食べ物をいただくことをお勧めいたします。

 薬膳と言えば、その時々の体調などに合わせてどのような食材を使って料理をするのが良いか、ということを考えたお食事と言うことになります。薬膳のことを勉強しようと思えば、どうしても中医学をベースに考えているものが多いようですので、陰陽、五行、経絡などを学んでいく必要が出てきます。現在の日本漢方は主に古方と言われるものが多く、私もそれを基本として考えているので、中医学の理論体系はあまりよく解りません。もちろん日本漢方を理解する上では、中医学的知識も必要となりますから多少は理解しておりますがなかなか難しいものです。

 中医学と言うのは近代になって改めて、それまでの中国医学の歴史を総合的に見返して、1つの論理体系として構築されたものです。中国では6年間をかけてその論理体系を身に付け、初めて中医学の医師として認められると聞いています。極めようと思えばそれほどの時間がかかる論理体系ですから一朝一夕には難しいですね。

 さて栗に戻ります。栗は経絡で言えば脾経に効くとされています。脾経は消化吸収能に関係する経絡ですから、ここに働きかけて消化や吸収を助け、栄養状態を改善し元気をつけてくれることが期待できます。また腎経を助けてくれるので、アンチエージングの意味合いが出てきます。栗の中医学的効用として補中益気と記載されています。これはまさに、胃腸を整えて元気をつけるという意味になります。

 漢方というのは、深淵な医学体系ですが、体調を整えるための様々な知識が関連してくるものですから、少しでも学んでいけば実生活にも生かせると思います。食養生をはじめとする養生の仕方を実践した上で、体調が今ひとつというときに、漢方薬を利用するというのが良いのだと思います。

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