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もくもく生活(5日目)
やはり夢の中では猛烈に喋っている。
禁断症状としてだろうが、ものすごく寝言を
言っている可能性もある(寝言は許されている)。
未だやんわりと頭痛が残るので、こんなにも
いい天気なのに外に出る気力が湧かず
部屋に篭っては起きてからずっと机に向かっている。
お昼ごはんには、知覚過敏の人が肩を窄めるほど冷たい親子丼の具を食べた(かくいう私も知覚過敏)。
この親子丼の具というのは、入院の前日に
冷蔵庫の中身を空っぽにするべく作ったにも関わらず作りすぎて結局冷蔵庫に置き去りにされていたもの。入院中、隣のベッドのおばあちゃんは食あたりが原因で入院とのことでかなり辛そうだったこともあり、流石に捨てようと思い冷蔵庫から取り出してみたのだが、意外にも食べられそうだったので味見がてらに食べていたらごはんに乗せるどころか、温める間も無く食べ切ってしまったというわけだ(体調に異常なし)。
夕方ごろ、近所のスーパーへ出かけた。
それだけでも ものすごく身体に力が入った。
知り合いに会うようなスーパーでもないし
完全セルフレジなので何も問題はないのに
喋ってはいけないプレッシャーが重くのしかかり、いつもの買い物でさえ帰ってどっと疲れた。
ブックカフェや美術館、植物園など
喋らなくてもひとりで楽しめる場所に行こうかなと呑気な気持ちとは裏腹に、いざ出かけると
本当に身体が重く、動きさえぎこちなくなってしまう。きっと慣れるのだろうけど、こんなに疲れるのなら家にこもって編み物している方がよっぽどマシだ。と思い、それから眠るまでは
ずっと編み物をしていた。
もくもく生活4日目と5日目は、
プレッシャーに押しつぶされそうになっていた。もう少し気楽にこの生活と向き合えたら、
きっともう二度とないようなこの連休にあやかってひとりでふらっと名古屋の喫茶店や京都の奥地まで行けただろうか。
これまでも、誰にも会わずに過ごすことは気持ちの部分を安定させるのに最も重要で、ひとりで黙々となにかをすることで向き合ってきた。
少し外を歩くと、発見や変化を誰かに伝えたくなった。他愛もない話だってしたい。
今は、先の約束を作ってくれる愛しい人たちのことを思いながらもう少し我慢します。
意識すればするほど呼吸も疎かになってしまうのでなるべく考えないで、明日はもう少し遠くまで出かけてみようかな。