足早に行くビジネスマンの重い鞄が、追抜きざまに腰にぶつかった。男はこちらを振り返るが、視線は着古したセーターの私を透過する。
だらしない格好で街を歩くのは道端に残されて風に転がる空缶のような気分だ。
強い北風が吹いて道行く人が皆、肩を竦める。私も、同じ寒さに肩を竦めている。

いいなと思ったら応援しよう!