マガジンのカバー画像

お金を払って喜んで犬のうんこ拾い

10
スペイン南部、国内最大級の犬の保護施設で、犬のうんこを拾いまくった体験談。スペインではある特定の犬種が毎年何万頭も飼い主から捨てられる。
運営しているクリエイター

#動物保護

寄付金を集められるインフルエンサーの影響力。人間は馬になったり、犬を銃殺したり。

人生で初めてインフルエンサーに会った。私はいろんなことに疎い。テレビを持っていないし、ウェブメディアも見ないし、敏感なアンテナも持ってないから何が流行っているのかも知らない。だけど、誰かにスポンサーがつく、ということは、その人に影響力があるからだ、というのは疎い私でも理解できる。 私が会ったインフルエンサーは、動物保護の活動をしている。ツヤツヤとしたダークな短髪にこぶしほどの超小顔、潤んだ瞳、落ち着いた所作、とても無口な彼女たちは、アビーとメイベルという美しい女性だった。

命を生かすのは金がかかる。人海戦術、水の入れ替え、バケツ洗い。イタリア人はイタリア人。

人間に捨てられた600頭のガルゴ(スパニッシュ・グレイハウンド)の保護施設の中で朝6時半に起床した。ここはスペイン南部のアンダルシア地方、5月末で気温36度に達する暑く乾いた土地の真ん中にある犬の保護施設である。 ガルゴは、細長い鼻に細長い身体を持つ筋肉質でエレガントな印象の犬だ。かつては貴族しか持てない貴重な犬だったが、今ではレースや狩猟など庶民の娯楽のために飼育され、使い捨てされることが問題となっている犬である。スペインでは年間5万頭が捨てられているとされ、私が滞在して