夏に見ないでいつ見るの!「サイダーのように言葉が湧き上がる」レビュー! 【映画の感想文】
17回目の夏の、17日の、17音の、物語。
17回目の夏に 君と会う
ひさびさに 一人で映画を 見てきたよ。
※なるべくネタバレなし!で書いてます。
"文字で"俳句をしたためるチェリー。
大きな音とおしゃべりが苦手な彼は、ヘッドフォンで周りの音を遮断する。角川の季語辞典をスマホケースに挟み、言葉を拾い集めて17音に込める男の子。
"音声で"配信をするスマイル。
コンプレックスを隠すため、マスクで口元を覆う。ダルマも、花火も、なんにでも、「かわいい!」と言い、「かわいいを探しにいくよ!」と動画配信する女の子。
ひいっ、対比が既にめちゃくちゃオイシイ。
そんな対照的な2人がひょんなことから出会って、恋をして、サイダーみたいにしゅわしゅわと、言葉が溢れて弾けて飛んでいく。
チェリーはヘッドフォンをはずし、スマイルの声を聞く。
チェリーの生み出す17音で、スマイルはマスクをはずしてにっこり笑う。
はい、よきよきのよき。えもえものえも。
しかもここに一枚噛んでるのが「俳句」だっていうのがいいですなぁ!!!
言葉に関するツールは他にもいくらでもあるだろうに、俳句ですよ俳句……俳句を嗜む17歳……「俳句かわいー!」ってはしゃぐ16歳……かわいい……眩しい……ひい……
女の子も、男の子に影響されて俳句を作るようになるのかな?と思ったけど、違くて、その距離感も、爽やかで好き。
相手が大事にしているものを、自分も大事にして、そうして少しずつ距離を縮めていく。コミュニケーションをとっていく。
SNS全盛の「今」の恋ってこんな感じなのかな?
俳句ー俳句(文字ー文字)のやりとりじゃないんだよなぁ。でもちゃんと成立するの。
文字に対して、音声で答えられる時代なんだよね。すごい。チェリーも「スマホがあればどこにいても同じ」って言ってるのが象徴的。
はぁ、文を贈るか、詠むかという平安時代の和歌の贈答とは違うなぁ(突然の脳内平安トリップ)
音声配信で神主、なんでも「かわいい」で紹介するスマイルはさしずめ令和の清少納言でしょうか。いいですなぁ!
ふたつに分かれた畦道を、最初はそれぞれ歩いていくのに、それがひとつの道になって、距離ができて、離れていくのが、きれいだった。
ええ、ええ、泣きましたとも。
子ども生んでからめっきり涙腺が緩くなって、前だったら絶対泣かなかったろうに、途中からずっと泣いてた。
「親子」「死別」もだし、高校生くらいの子がつらい目にあって泣いてるのを見るだけでもう泣いちゃいますわ。「つらいねぇ、つらいねぇ、よしよし😭」ってなっちゃった……視点よ……
あと、映画のなかはもちろんみんな「ノーマスク」なんだけど、だからこそスマイルが「マスクしてる」のが特異で、それもなんだか、懐かしさすらあった。
夏で暑いんだから、マスクはずしなよ。風邪ひいてるの?って、つい2年前までこうだったんだよなぁ。
いや、そばかす姫にするかチラと悩んだんだけど、見てよかったです。
この映画は、夏に見ないといけない。
子どもたちにも俳句の宿題を出したなぁ。どんな俳句を書いてくるかなぁ。と思いながら、見ないといけないですよこれは。(?)
言葉に関わる全ての人に、オススメです。
余談というか、今回のオチ
見ながらここもしかして群馬じゃないかな???って思ってたらやっぱりモデルが高崎だった😂
私自身は群馬にはゆかりはありませんが、夫が群馬出身なので……これイ●ンモールか?ダルマだし、まさか……がまさかだった。ちょっと嬉しい。
これは帰省が聖地巡礼になりますな!🥺ふんすふんす🥺まずはそもそも、帰省できる日を夢見て…🙏
(夫はこういう映画では泣かないというのはわかってるけど、高崎がモデルなら夫と見たかったナァ)
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猪狩はな 💙@hana_so14