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2021年7月の記事一覧

藍の蜂

藍の蜂

夜の入り口で、藍が目の前をよぎった。ざらざらと背すじをざわめかせる羽音。ぶ、ぶ、自分だけが知る、濃紺の蜂。帰り道に夜を連れてくる細い紐は、アイツ自身には見えないようだった。糸がその胸に仕舞われるさまを見ていれば、「なに、みてるの」と眉根が寄る。
「べつに」
言ったところで、信じないだろう。自分が夜をちらつかせているなど。アイツの心臓の真上からはまだ蜂の羽が半分見えていて、ぶ、ぶ、と鼓動のように音が

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