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ウエディング・ベルにはまだ早い


こんなタイトルを書くと、なんだか短編小説のようだが今日はわたしのすきな人について遠慮なしに熱く喋りまくるエッセイである。

さて。かれこれ彼女とは10年以上の付き合いで、途中離れてしまうことがあったが去年から再びまた交流をし始めて、季節の折には手紙を書くようになった。
けれど、悲しいことにわたしに対して彼女から手紙の返事が来たことは一度もない。
それもそのはずで、わたしと彼女は友人関係などではなく、舞台女優とファンクラブ会員という関係性だからなのである。  

love letter from HANAYA

霧矢大夢(きりや ひろむ)、通称きりやんとあだ名される彼女は、宝塚歌劇団の出身で元月組のトップスターを務めるほどの実力者だ。
誤解がないように記しておくが、私は宝塚が特別好きなわけではない。
ただ、好きになった相手が宝塚OGだったというだけで、彼女の母校に対しての思い入れはあまりないのである。

霧矢さん(普段わたしは彼女に敬意を持ってこう呼んでいる)のどこが好きなのか、容姿、身体能力、チャーミングな笑顔、コテコテの関西弁、ギャグセンスの高いMC力と語らせれば長いが、なんといっても特筆すべき能力は歌声なのである。
彼女の声は素晴らしい。
わたしの中では、紅白に出場している紅組歌手の10人が束になってかかっても彼女を超える歌姫はいないと思っている(※個人の感想なので悪意はない)
男役特有のハスキーなアルトボイスで、声質に透明感がありどんな曲を歌っても色気があり、彼女のものにしてしまう。

もちろん、歌だけではない。
持ち前の身体能力の高さから、タップダンス、バレエ、ジャズダンスとオールマイティにダンスをこなすし、鍛えられた上腕二頭筋は美しすぎて観る者全てを魅了する。
わたしは霧矢さんに対して擬似恋愛的な感情を抱いているので、生まれ変わったら彼女が飼うフレンチブルドッグになりたいと願ってやまない。
いくらでも喜んで散歩に行くし、いくらでもたるんだ腹を出してカーペットに寝転がる。

さて、そんな飼い犬予備軍のわたしに青天の霹靂のような事件が起こった。

ファンになってから十数年、本日、彼女に初めて認知をされたのである。(ここを書くためにこのエッセイを書いたと言っても過言ではない)

天王洲アイル KIWA


ファンミーティングの質問コーナーで、挙手制で指名された人だけが会話をできる時間が設けられたのだが、思いのほか謙虚な人ばかりで手を挙げる人がおらず、すんなり後列の私が指名されて彼女と会話することになった。
普段、仕事柄標準語を使っているので公の場では基本方言を隠すのがわたしのスタイルなのだが、霧矢さんは板の上を除いてどこでも愛らしい関西弁を喋っている。
親近感を持ってもらうために、わたしも彼女と同じ西日本出身であることをアピールしようと普段家人や同郷の友人と話すときのようにコテッコテの阿波弁を使うと、霧矢さんが食いついて出身県を訊いてきてくれた。
「徳島です」と答えると、徳島のイントネーションがツボに入ったのかずっとトクシマ、トクシマとわたしのイントネーションを復唱して笑っていたので、この時ばかりは徳島県でわたしを産んでくれた両親に合掌をした。

お母さん、霧矢さんを笑顔にしてくれてありがとう。
お母さん、わたしをトクシマで育ててくれてありがとう。


そしてその後も会話は続き、お笑い好きのわたしから彼女に「新喜劇や、お笑い芸人の中で好きなコンビや人はいますか?」と質問をすると、彼女は楽しそうに「いますね。吉本新喜劇のすっちーさんです」と答えてくれた。

これはもはや運命でしかない。


ご存知の人もいるだろうが、わたしは3時のおやつと同じくらい吉本新喜劇を深く愛しており、推し座長がすっちー、吉田裕(敬称略)なのである。
乳首ドリルはあの茶色い棒さえあれば誰に対してもできるし、誰にフリをされても「爪先、アゴ、脇やめろ!!」「ドリルせんのかい!!」と完コピできる自信がある。
パンティーテックスも、大量のアルコールと手拍子さえあれば個室居酒屋で完璧にこなすだろう。
わたしの中で恋焦がれた人が、同じようにすっちーを推して、彼のすちこネタに力を貰っていると言う。
もう、これは実質両思いなのである。
笑いのツボが合う人が、付き合う上での重要な要素だったりするので、彼女とはこの先結婚を前提に付き合ってもきっと上手くいく。

マチルダ記者会見の霧矢さん

ウエディングベルを鳴らすために、わたしはこれからも彼女とともに生きていこうと思う。

※なお、このエッセイは至って真面目に書いてはおりますが内容についてはただのファンの妄想に過ぎないので、登場した人物に対して真剣に交際を迫るものではありません。



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