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ハンガリー/ブダペスト国会議事堂 私の三つ星建築
2024年も年末が近づいてくる。
旅をした記録やロンドンで建築アシスタントとして働く日々を書こうと思って始めたこのブログであるが書きたいことが山ほどあるまま黄色く色づいた木々たちの葉がもう散り始めてしまった。
冬が近づくとここにきた去年を思い出す。寒くて、くらくて、仕事も部屋もなくて。
人生で一番怖かったけれど人生で一番無我夢中で生きていた。
そしてご縁あって念願だったロンドンの建築事務所で働き出した私が
初任給で自分に買ったご褒美は、確か2万円くらいの、ロンドンとブダペスト往復の航空券だった。(安かったので)
週末、土日だけの現実逃避。そこで出会ったブダペストの国会議事堂は、私が今まで出会った建築で最も美しいもののうちの一つだった。忘れないうちに、2月に行ったブダペストの記憶を書いておこうと思う。
ミシュランじゃないけど、建築に星をつけるなら
ミシュランガイドの星の基準というのは結構詩的で面白い。
星一つは、近くにいたら訪れる価値のある料理、
星二つは遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理、
そして星三つが、そのために旅行する価値のある卓越した料理、
とされている(グランメゾン東京で知った)。
何かを評価するにおいてその基準がこのように数値ではなく言葉で決められているのが良いと思う。
欠点も長所も主観も客観もある人間が編み出した歪な世界の隙間に聳え立つ文化、その最終判断がグラフや数字になってしまってはいけない。(評価過程でどうしても数字にしないといけないことはあると思うし、星の数で表しているじゃん!というツッコミもあると思うけれど)
そんなわけで、私の中で今年、三つ星だったな、と思う建築がいくつかある。
この建物たった一つのために時間とお金ををかけてよかった。きっと走馬灯にも出てくる。
死ぬまで忘れない、私の「美しい」を形作った、神様のような建築がいくつかある。
そのうちの一つが本日書く、ブダペストの国会議事堂である。
とりあえずハンガリーってどこ?
ハンガリーってどこやねんと。
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スロバキア、オーストリア、スロベニア、クロアチア、セルビア、ルーマニア、ウクライナというまさかの7カ国と隣り合う一体どうやって領土を保てばいいんだ状態のハンガリー様、
さらに首都であるブダペストは第二のパリと呼ばれる、ドナウ川沿いに広がる夜景の美しい街として知られる。
ちなみにヨーロッパの有名な川、テムズ川、セーヌ川、ドナウ川、ライン川と行ったがが私はあまりにブダペストとドナウ川の光景に胸を打たれたためその4本の川ならドナウ川のファンである。
どれも街に流れている部分は特に別に川として透き通るように綺麗というわけではない、ただ長く広い。有名な街が周りに多い。
初めての東欧 空港からの道で見る本性
東欧というのは大体、自然、首都、そしてその間の共産政権時代に建てられた無骨な公共住宅というエリアに分かれる。
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私はまだハンガリーとルーマニアにしか行ったことがないが、これは確かにそうだと思う。東欧を旅行するときの体験の深さ、それは明らかに時代背景の壮絶さにある。
旧ソ連など大国の真隣やその政権下にあった、それが東欧をある意味今の東欧にする。戦ったプライドや守ろうとしたもの、そういうものが路地の石畳を見つめているだけでなんとなく感じ取れたりするのである。
そして東欧の現地の皆さんはみんな何だか強そうである。飛行機に乗っていてもなんだかパンクな感じのマダムが多かったりかなり体格がいいムキムキの男性がたくさんいらっしゃる。
20世紀後半まで社会主義体制、その崩壊という様々な試練を街も人も乗り越えてきたのである。
ホテルにチェックイン あぁこれはまるで京都だ
そしてホテルにチェックイン。就職できたプチご褒美ということで割とちゃんとした絵画の飾ってあるような部屋に泊まったのだが、
その後の週末旅では一部屋に四つベッドがあるようなホステルや小さなロッジに(特に一人旅は)泊まるので思い返せばこのホテルがヨーロッパに住み始めてから泊まった今の所一番高価なホテルかもしれない。
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とにかく街に繰り出す。東欧のパリの名も納得の華やかな建物がお行儀よく並ぶ。
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そしてホテルを出てすぐのところでパッと右側を見ると、そこには国会議事堂があった。
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信じられないスケールの美が、影の中に浮かび上がる。これがハンガリーの国会議事堂である。天に向かって聳え立つゴシックリバイバル様式、世界でも三番目に大きな国会議事堂となる。歴史としてはそこまで古いわけではなく完成したのは1904年だそう。
現地の言葉ではOrszaghazと呼ばれる。
19世紀後半にハプスブルク帝国の支配下にあったブダペスト、というかハンガリー王国はオーストリア帝国と国家連合を作ることになる。
その時首都になったブダペストにできたのがこの国会議事堂なのである。大体オーストリア、ルーマニア、ハンガリーなどを旅する時はハプスブルク帝国について勉強しておくと面白い。
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この、歴史的な街並みに突然ドカンと大きな圧倒的な建造物が現れる感じが、東欧は少し京都に似ている。小道を迷い込んでいると大きなお寺にぶつかる、そんなような。そして西ヨーロッパの大都市との一番の違いは背景に山がある。ブダペストやルーマニアでは、山が街の奥に見える。これは決してミラノやロンドン、パリでは起こらないことであり、私は東欧で何となく日本を感じられる瞬間がとても好きである。
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メインは夜景でも日が暮れる前に名所を押さえておこう
ブダペストはドナウの真珠と呼ばれており夜景がとても有名な街である。光の邪魔をするカラフルな看板などは禁止されており歴史的な建物に灯るオレンジ色の光のみが川に映る。
なのでブダペストに来たら是非そのロマンチックな夜景をメインに計画を立てたいところなのだが、光が制限されているからこそ川沿い以外の観光地は昼間にちゃっちゃと回っておくのが良い。あまり大きくはない街なので電車などに乗らないでも多くの名所に行ける。
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ちなみにブダペストというのはブダ地区とペスト地区とありそれをまとめているからブダペストである。清澄白河のようなものである。
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橋を渡って対岸に行く時も国会議事堂のオーラというのはやはり何者にも例えようがない。あまりに美しい。
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夜景を見よう クルージングツアーはとってもコスパ良し
ブダペストの夜景はそれ自体が産業のようなものなのでたくさんのクルージングツアーがあるが、私は夜景に集中したかったのでちょっと飲み物とかは出るけれど特にフードなどは無しのものを選んだ。行きと帰り、Uターンするのでどこに座っても両側が見られる。
もちろん歩いてみて回ってもいいんだけれど、対岸から見る国会議事堂より、川の上から見る国会議事堂の方が距離が近くて迫力がある。
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眩いわけでもなくただそこに照らされていて美しく、夢の国に迷い込んだ気分になる。
ディズニーランドのIts a small worldに乗っている時のような、こんなに大きいのに何か、建物が大きくなったのではなく自分が小さくなった気分になる。
反対の岸にはブダ城と漁夫の砦が光る。光っている、というより、点っている。
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船の窓枠から見える国会議事堂に目を戻す。頭の中でHosierのtake me to the churchが響く。
Take me to church i’ll worship like a dog at the shrine of you lies -
世界にふと存在する真の美は、自分の中にある嫌な部分を照らす。そして美はそれすらも許す。
私が祈るとしたらそんな美を作り出した神、というか過去の建築家たちである。
あぁ、届かない、こんなものは何度生きたって作れない、それでも、私は、目指したい、このゴシックの装飾が指す天を、いつかそこに辿り着きたい、
と、思ってしまうわけである。そんなバカなと思う人は行ってみれば良い。建築を見にきたはずが天を仰ぎたくなる、宗教建築でもないのにである。
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船から降りて建物の目の前を歩く。とても画面には収まりきらず、とてもその場で全てを理解できるような建築ではないと思う。
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その日、いろんなことを考えながら夜遅くまで河岸を歩いた。世界一の夜景だと思った。静かで、でも壮大で、街の色が奏でる音が聞こえる。
ドナウ川と蝋燭の灯るような街全体がまるで教会で歌っているようなのである。
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モルダウの歌はチェコだが、まさにそんなような、森が、東欧の大地が、その上の歴史と文化が、私をそこに留める。言葉にできないほどの感覚だったと思う。
オマケ 翌朝のこと 東欧はパンが美味しい
翌日もよく晴れていて観光日和だった。
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ハンガリーといえばこれ、のランゴシュ。揚げパンのようなものにピザのような具を乗せるのだがこれが本当に美味しい。
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あとは前日食べたのはグヤーシュスープ。ハンガリーの国民的なスープで牛飼いのスープということらしい。
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そしてクルトシュカラーチ、英語ではよくチムニーブレッドと言われる筒に巻きつけて焼くドーナツのようなこれもとても美味しい。
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素朴でしょっぱく、なんとなくホッとする味が多くて、イギリスやフランスのバターたっぷりなんでもクオリティークオリティーという感じの料理とはまた違う良さがある。
それではブダペスト編はこの辺で。また行きたいなぁ。
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