虫を食べるということ
いま、昆虫食って悪い感じで話題になってますよね。
私も月1くらいのペースで虫を食べているので、どうして虫を食べるのかを言語化してみようかなと思って、この記事を書き始めました。
「虫、食べてみたいな~」と思い始めたのは小学生の頃です。完全にテレビの影響でした。「昆虫食が流行っている!」「昆虫は未来食!」みたいな内容ではなくて、むしろその逆で、タレントさんが海外ロケでその地の食文化を半ば無理やり体験させられるとか、バラエティ番組の罰ゲームで虫を食べさせられるとか、そういうやつです。
テレビ番組を見た幼い私は、「虫たち、笑いのために美味しく味わわない人間に食べられるのイヤだろうな……」と思っていました。別に美味しそうとは思わなかったのですが、私のほうがテレビの人達よりもちゃんと味わって食べられる!という謎の自信がわいていたのです。(ただ蜂の子は純粋に美味しそうと思っていました)
それからイナゴの佃煮とかは普通に食べていたのですが、コオロギや蜂の子のような「近所のスーパーで手に入らない虫たち」は食べる機会がありませんでした。いつか食べてみたいな~と思い続けて十数年、いよいよその時はやってきました。
大学生になり、自分が食べたいものを自分のお金で買えるようになった私は虫を美味しく食べられるお店を探し求め、あるお店を見つけたのです。東京メトロ銀座線「田原町駅」から徒歩3分の場所にある、「TAKE-NOKO」さんです。いま昆虫食の事業者さんはとにかく叩かれているので、お名前を出して紹介していいものかと悩みますが、ホームページのQ&Aを見ていただければ非常に誠実な事業者さんだとわかると思います。
TAKE-NOKOさんのメニューは「京都コオロギのペペロンチーノ」「山梨かいこの濃厚トマトクリームパスタ」「蜂レモンソーダ」など、虫を除けば普通のカフェと変わりない料理名でいっぱいです。罰ゲームではなくしっかり美味しく虫を食べてあげたいと思っていた私にとって、虫をゲテモノとして面白がるのではなく、美味しい食事として提供しようとしてくれるこの姿勢は探し求めていたものそのものでした。
そうして念願の昆虫食を体験し、普通に美味しかったので今も食べている、という感じです。ただ、素直に言うと全部がめちゃめちゃ美味しいわけではありません。他の食材を食べずに虫を食べたいくらい美味しい!!というのはかなりのレアケースだと思います。食べるためにわざわざ育てられた虫なので値段も少しお高いし、「蚕はアーモンドの渋皮っぽい」「タガメはリンゴっぽい」とか、虫じゃなくても味わえるよねってことも多々あります。それでも、普段なかなか食べられない食材を美味しく頂けること、たま~に人生初の味や食感に出会えることが嬉しくて、虫を食べています。桜の葉を食べて育った蚕の糞でつくられたお茶とか、茹でた蜂の蛹とか、蚕の繭のお刺身とかは感激するほどおいしかったなぁ。
と、いう感じで、私は「なんか美味しくて楽しいなぁ」くらいの気持ちで虫を食べています。昆虫食が世界を救うとも考えていないし、他の人も虫を食べるべきだとも思っていないし、虫しか選択肢がない未来は普通に嫌です。SDGs的な観点から昆虫食の可能性を探って研究をすることは自由だと思うし、その研究の成果を享受することもしないことも自由だと思います。とか、いまの昆虫食の批判のされ様を見ていると言いたいことはいっぱいあるけれど……。わたしはこうやって虫を食べてるよ、という記事でした。
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