【保育園・幼稚園】“ウイルス性胃腸炎” の大流行に注意!
寒くなり、インフルエンザやウイルス性胃腸炎(感染性胃腸炎)が流行しやすい季節になりました。
前回の記事では、ウイルス性胃腸炎(感染性胃腸炎)により次男の命が危なかったという体験談を書きました。今回は、保育園・幼稚園に勤務していた経験から、本当に危険なウイルス性胃腸炎の驚くべき感染のしやすさや、園での対応などを書いていきたいと思います。
保育士がやっていた“ご自宅で感染をできる限り広めない方法”もお伝えしますので、お子様がかかってしまう前の知識として、また、お仕事をしているお父さん・お母さんの参考になれば幸いです!
<このnoteは『COTETE Labo』掲載記事です>
ウイルス性胃腸炎の感染のしやすさ
ウイルス性胃腸炎の感染のしやすさをご存じでしょうか?
東京都多摩立川保健所のホームページには下記のように記載されています。
このようにとても感染力が強く、保育園・幼稚園でも冬季は特に恐れられている感染症でした。
クラス全員感染や学級閉鎖になることも…
保育園や幼稚園で、たった一人が発症してしまっただけで多くの職員や子どもたちに感染し、クラス全員が感染したり大多数の感染で学級閉鎖になってしまうことがありました。
特に、嘔吐にも大量のウイルスが含まれていますが、「気持ちが悪い」と言うことができない子どもたちも多く、急にバシャッと大量に吐いてしまうため、おもちゃや友だち・職員の服にかかってしまうなど、防ぐことがとても難しかったのを覚えています。また、一度吐いてすっきりしたとしても、30分以内にもう一度吐いてしまったりと、保護者の方のお迎えが来るまで大変でした。
感染を最小限にする方法
ここからは、園で実際に行っていた『感染を最小限にする方法』をお伝えしたいと思います。ご家庭でもできることがあると思いますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
子どもが嘔吐をしてしまった場合の処理
ウイルス性胃腸炎は、前触れなく急に嘔吐から始まることがあります。
熱や下痢はまだでも、大量の嘔吐をしたら、ウイルス性胃腸炎の可能性を考えて感染対策をしましょう。
①嘔吐物用のセットを予め用意しておく
園では、嘔吐物処理用のセットを各部屋に用意していました。
ご家庭ではここまでの準備は難しいと思いますが、ビニール袋の中に『マスク、ビニール手袋、新聞紙かペットシーツ、嘔吐物を拭くもの』を準備しておき、わかりやすいところに置いておくと掃除が簡単になりますよ。
②嘔吐物に新聞紙またはペットシーツをかけて覆う
嘔吐をしてしまったら、すぐに嘔吐物セットを自分でとるか、家族にとってもらい、嘔吐物に新聞紙かペットシーツをかけてウイルスが飛ばないようにします。※消毒液の準備がある場合は消毒液をかけてから
兄弟姉妹がいる場合は、速やかに別の部屋か廊下に出てもらいましょう。
匂い対策で換気をしたくなりますが、ウイルスが飛んでしまうのでやめましょう!
③吐いてしまった子の処理をする
最低限、手袋とマスクをつけ準備をします。(使い捨てエプロン等があれば着用)
ビニール袋と、新しい着替えを用意してから、吐いてしまった子の処理をします。拭いてあげたり、着替えさせてあげましょう。
汚れた衣類は一度ビニール袋に入れて、結んでおきます。
→任せられる大人がいる場合は、着替え後に見てもらいましょう。
また吐いてしまう可能性があるので注意です。
④嘔吐物の処理と消毒をする
嘔吐物はキッチンペーパーやティッシュ等で拭き取り、汚れたところは必ず消毒液で消毒をしてください。
雑巾を使用した場合は、捨てた方がいいと思います。
拭き取ったものもビニール袋に入れ、消毒液をかけてから口を結ぶとよいです。
汚れてしまったおもちゃやカーペットなども消毒必須です。
一度ビニール袋等に入れ、後ほどまとめて消毒をするため、よけておきましょう。
※ウイルスは乾燥すると舞ってしまいます。乾燥させないように速やかに片付けましょう!
⑤片付けをした人は、手袋をしていても手洗い必須!
嘔吐物の処理をした人は、手袋をしていても手洗いを必ずしましょう。
使い捨てエプロンは1回使用したら処分してくださいね。
可能であれば、着替えるとよりいいでしょう。汚れていないように見えても、ウイルスが付着してしまっている可能性があります。
下痢便の場合の処理
下痢便の場合の処理も、必ず手袋とマスクをして行いましょう。
オムツの前から後ろまでめいっぱい、大量の下痢が出てしまうことがあり、漏れてしまうこともあります。
服や布団等が汚れてしまった場合も、消毒必須です。
オムツはビニール袋に入れて口をしっかり結んで捨てましょう。
消毒液ってどんなもの?アルコールでいい?
ウイルス性胃腸炎の際の消毒液ですが、なんとアルコールではウイルスは死滅しません。
有効なのは、『次亜塩素酸ナトリウム』です。
家庭にあるものだと、ハイターがそうです。園では『ピューラックス』というものを使っていました。
『次亜塩素酸ナトリウム』と記載があるものを使い、100倍に薄めたものを消毒液として使用します。
成分が飛んでしまうため、毎日新しいものを用意するのが望ましいです。
園では常日頃から用意をしていましたが、使うかわからないものを毎日用意するのは、家庭では面倒ですよね。
ですので、ウイルス性胃腸炎と診断された場合には、この消毒液を用意するようにしてください。
注意点としては、呼吸器に入ってしまう危険性があるので、霧吹きでの使用はいけないとされていました。ただ、霧吹きで使えるととても便利ではあります。使用者はマスクをする・部屋に他の人がいない状態(特に子ども)に利用するのは自己責任ではありますが、良いかと思います。
また、この消毒液には漂白作用がありますので、使う場所には十分注意してください。特に霧吹きの状態では広範囲に飛んでしまいます。園でも、掲示物などに飛び、所々画用紙などに漂白が見られました。
嘔吐物・下痢便がついてしまったものの消毒
嘔吐物・下痢便がついてしまったものは、処分もしくは必ず消毒をしましょう。
消毒方法は、『次亜塩素酸ナトリウム消毒液での消毒』、『熱湯消毒』が挙げられます。
どちらでも構いませんが、色落ちの心配がある衣服や布団・カーペットなどは熱湯消毒をおすすめします。
次亜塩素酸ナトリウム消毒液は、5~10分ほど浸すとウイルスは死滅します。
熱湯消毒は、85℃以上の熱湯に2分以上で死滅すると言われています。
間違っても、消毒をせずに洗濯機に入れないようにしてください。
一緒に洗濯をしたものがすべて汚染されてしまいます…!
園での対応で知っておいてほしいこと
ご紹介してきたように、ウイルス性胃腸炎はとても感染力が高く、脱水などで命の危険の可能性もある病気になります。
幼稚園・保育園でもあっという間に学級閉鎖、園閉鎖が起こってしまうため、ウイルス性胃腸炎・感染性胃腸炎にはとても敏感になっています。
そこで、園での対応の一例をご紹介しておきたいと思います。現在幼稚園や保育園に通っている方、これから通う方の参考になると幸いです。
①『お腹の風邪』という診断では登園できないこともある
嘔吐や下痢があり、病院を受診した際に『お腹の風邪だね』とお医者様に診断されたとします。次の日、嘔吐や下痢が完全に治っている状態なら良いのですが、まだ時々でもある場合、「時々下痢が出ますがお腹の風邪です!」「嘔吐があって受診したらお腹の風邪でしたが落ち着いてます!」などと伝えると、登園できないことがあります。
『感染性』なのか『非感染性』なのかを聞かれる場合があります。
お腹の風邪としかわからないときは、もう一度受診か、大事をとってお休みしてほしいと依頼されることがあるので注意してください。
『お腹の風邪』と言われたときには、感染性・非感染性かを念のため聞いてくださいね。
ちなみに、“感染性というと登園できなくなるから”と「非感染性のお腹の風邪です!」と言って登園した子が、園で嘔吐や下痢をしてクラス中、そして職員に広まったことがあります。
他のご家庭が同じことをして、我が子に感染したらどう思うでしょうか…
お仕事が忙しくて登園させたい、子どもがどうしても休みたくないと言うなど、それぞれ理由はあるかと思いますが、体調が悪いときには無理をせずにお休みしましょう。
②嘔吐・下痢でお迎えの電話をかけることがある
嘔吐、下痢があった子の保護者に、お迎えの電話をすることがあります。
「熱がないんだから電話してこないでよ…」と言われる方もいるのですが、このように感染力が高いウイルス性胃腸炎の可能性もあります。
念のため受診をお願いし、感染性じゃない場合には次の日からまた登園できますので、ご協力をお願いいたします。
また、走りすぎて吐いてしまった・給食を食べすぎて吐いてしまったなど、原因がわかっている嘔吐の場合は電話しないこともあり、先生方は状況を見て連絡していると思います。
③汚れた衣服を洗わずに持たされることがある
ウイルス性胃腸炎の可能性がある場合、園によっては嘔吐や下痢で汚れてしまった衣服を洗わないで持ち帰らされることがあります。
ビニール袋には入っているものの、時間が経ってとても汚いし、匂うし…園で洗ってほしいと思うのが本音ではないでしょうか。
汚れた衣服を園で洗わないのには理由があります。
1、感染拡大を防ぐため、園では洗わない
2、服を傷めてしまう可能性があるため
です。
特に2が重要で、消毒液である次亜塩素酸ナトリウムは、漂白作用があるので洋服が色落ちしてしまう可能性があります。
同じく熱湯消毒でも生地を傷めてしまう可能性があるので、園では好意だったとしてもむやみに消毒をすることができないということがあります。
④自分の子が汚してしまった、他の子の衣服を持って帰り、洗濯をして返す可能性がある
自分のお子様が他の子に嘔吐物をかけてしまった場合、園によっては相手の子の衣服を渡される可能性があります。
これは園で洗うことができないので、他の子の嘔吐物がかかったものを本人に持ち帰らせることは失礼だというところからの配慮になります。
お互い様という気持ちで園に通ってほしい
汚れたままの衣服を洗ってもくれない、他の子の衣服まで持たされた!と驚いてしまうこともあるかもしれません。しかし、大人も子どももあっという間に感染してしまうウイルス性胃腸炎。一家全滅にもなりかねませんので園はとても注意しています。
かかりたくない、広げたくない気持ちはお互い様。
体調が思わしくないときには無理をせずお休みをし、お互いを思いやりながら登園してくださると、先生方も助かると思います。
最後に…
いかがでしたでしょうか?
2回に渡って書いた、ウイルス性胃腸炎について。現在ロタウイルスのワクチンが無料になり、重症化はしにくくなったのかもしれませんが、それでもお子様は1度はかかると言われている病気です。
少し長くなってしまいましたが、みなさまの知識の1つとして覚えておいていただけたらと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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