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前菜からデザートまで発散する思考。

何かに没頭しても、
眠ることは忘れない。
けれど食事は1食くらいなら、
忘れることはよくある。


今日も昼食を忘れたおかげで、
変な時間に空腹がやってきた。


それも忘れて書き続けたけど、
さすがに何か食べようと思い、
野菜室から適当に野菜を取り出す。


ぼんやりと通り過ぎていく、
思考や感情の数々。
それらをまるで、
他人事のように眺めていた。


どうやらレタスをちぎりすぎたようで、
用意した皿に他の野菜が載らなくなった。


苦笑して、そのせいであふれた分の
きゅうりをつまんで、食らう。













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失われた春、というよりは、
霧のような靄のようなものに覆われて、
氣づいたらいつの間にか、
蒸発でもしたように、
温度も色も残さずに、


消えた春は、


人や社会に限らず、
明晰から漠然まで ”何か” を露呈して。


消えていった。


さながら白煙の、ゴーストのように。


実態は感じられないのに
『在る』ことだけは、
ちゃんと教えていく。


弱さも。脆さも。
隠したり、隠れてるだけよ、って。
見えないように、見ないように。
あなたたちが、そうしてるだけよ、って。


それは他者や、
取り巻く何かに対してでもあり、
自分自身も然りだったろう。


本人も氣づいていない、
本音。本性。本質の暴露。


目に見えない不条理と恐怖は、
人間のネガティブな様相を、
炙り出すのが得意らしい。


威風堂々の裏の、臆病。
怒りにかまけて発散された、意固地。
温厚な笑顔に隠した、陰湿と狡猾。
高潔と純粋の、染まりやすさ。
度がすぎる陶酔あるいは傾倒の危うさ。
いとも簡単に鈍る、取捨選択の判断能力。





いろんな人がいた。
普段見ないようないやなものが、
そこらじゅうに転がっていた。
失った人も、いた。







それに少々翻弄されたわたしもまた、
感じた狼狽を、どう見つめてどう捉え、
どう処理するかが、課題だと受け止めた。


だから遮断するものは遮断し、
透過させたいものに集中した。












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取捨選択の判断能力といえば、
自粛期間の前から今に至るまで、
何度も思い出していた、本がある。


世間に存在する悪は、ほとんど常に無知に由来するものであり、善き意志も、豊かな知識がなければ、悪意と同じくらい多くの被害を与えることがありうる。人間は邪悪であるよりもむしろ善良であり、そして真実のところ、そのことは問題ではない。しかし、彼らは多少とも無知であり、そしてそれがすなわち美徳あるいは悪徳と呼ばれるところのものなのであって、最も救いのない悪徳とは、自らすべてを知っていると信じ、そこで自ら人を殺す権利を認めるような無知の、悪徳にほかならぬのである。殺人者の魂は盲目なのであり、ありうるかぎりの明識なくしては、真の善良さも美しい愛も存在しない。
(『ペスト』カミュ)



情報が錯綜し始めたとき、
真っ先に思い出したのがこれだった。


性善説、性悪説の論議は追いやるが、
結局のところ、良かれと思って吹聴される
ネガティブな情報の根拠をつついていくと、
誰も正確なことを理解していなかったし、
理解しようとしなかった。


だってテレビで、ネットで…で終わりだ。
買い占めが起こってしまったあたり、
わたしの周りだけだった、とは思えない。


じゃあ真実ってなんだよって
話になるのだが、
もしも平常心を保てていたなら、
明らかに誰かにつけられた
尾ひれはひれに、
氣づいてもよさそうなことが
たくさんあったように思う。


悪意がないことはわかっていた。
でも、だからこそ、うんざりだった。


不安に蝕まれて、
堕ちていく。


必要な情報だけ取り込んで、
あとは遮断してやり過ごすことにした。
そうすれば正しい情報を求めようと、
一層冷静にもなれた。


できることを淡々とこなして、
そして祈ることを決めた。


noteでも、できることをしようとか、
祈ることしかできないよ、とも。
頻繁に書いた氣がするよ。






そんな、白煙の春だった。















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そうはいっても、ゆらぐことはあった。


今、この瞬間が大切で。
今、この瞬間を生きることは、
忘れないようにしていたつもりだった。


わかっていても、人間、ゆらぐ。
わたしもなんとか、人間だったらしい。


こうやって、
何度も繰り返して生きていく。


これが大人の階段を上る、
ということだとしたら。


この階段って、
一体何段あるんだろうね。













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この先全国的に自粛が解除されても、
見つかってしまったウイルスとは、
共存しないといけない。


消滅することはないのだから。







カミュが生きていたら。
どんなことを想うんだろう。
そんなことも、何度も考えた。


【ペスト】の中で描かれる疫病は、
それ自体がもたらす苦痛だけでなく、
人間が経験し、または内在する、
人生におけるあらゆる不条理、
悪徳、弱さや脆さの象徴として描かれる。


淡々とした無感動な描写は、
消えゆくこの春の不穏な空氣に、
よくお似合いとなってしまった。






カミュが生きていたら。


何をつぶやいたんだろうね。


何をnoteに、書いたんだろうね。





わたしはここで、
真の善良さや美しい愛について
書くつもりはないけれど、
もしカミュが生きていたら、
サークルの機能でも使って、
人生に去来する不条理や
人間の脆弱さや愛を論じあう、
サロンでも開いてほしかったな。


そうしたらGWの過ごし方は
変わっていたかも…


なーんて。
妄想だけして、満足した。















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今日は、昨日いただいた、
手作りのゼリーがデザートだ。


いつも応援してくださる、
愛する”家族”のような方からの、
愛のこもったプレゼント。


あれが冷蔵庫にあると思っただけで、
胸の辺りがぽかぽかしてくるよ。
わたしのボキャブラリーは、
束の間機能しなくなって。


ありがとうと、大好きですしか、
言葉が見つからなくなる。


嫌なものにも触れた、春だったけれど。
たくさんの愛を知り、感じて、受け取った。


光を知り、陰を知る。
逆も然り。


バランスが大切だ。
どちらかだけ知っていたのでは。


人間は脆い。


こういう書き方は
よろしくないのかもしれないが、
ある意味でいろんなことが、
振るいにかけられた。


何を大切にしたくて、
何を守りたいのか。
誰に愛されていて、
誰を愛しているのか。


よくわかってしまった。


自分のことだけではなく、
取り巻く人々のことも。
よく見えていた。


霧のような靄のような何かに覆われた春は、
この先誰と生きていきたいの?
とわたしに問いかけて、
蒸発していなくなる頃にはもう、
大体見えていた。





白煙のゴーストの存在感は、
輪郭がないくせに大きかった。















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目の前のフライパンに集中せず、
デザートのことをフライングで考えた、
結果かもしれない。


今度は振りかけた調味料が、
思ったより勢いよく振りかけられる。


出来上がったメインディッシュは、
かなりの確率で、胡椒辛いな…





また苦笑いが、こぼれた。






flag *** hana



今日もありがとうございます♡










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