その、ある家庭での生活の中で
この場所では呼吸ができない。
そう思ったら、その場から逃げ出すだろう。
その苦しさから、死の危険から、エネルギーの消費から、逃れるために。
このガムはもう味がない
または
この肉は噛みきれない
この果物の皮は渋くてとても食べれたもんじゃない。
そう思ったら吐き出すだろう。
あたりまえの、こととして
当然、頑張って飲み込む人もいるだろが
飲み込まない人にも正当な理由はある
そもそもそのうち出す前提だ
飲み込める様な大きさじゃない
このまま口に入れてたら危険だと思った
あたりまえの、こととして
そうきいたなら「あらら、だいじょうぶ?」だ
あたりまえの、ことだから
最低限の条件っていうのは、きっと人それぞれに違っていて
見失ってしまったりも
見つけられなかったりもしてしまうのだろうから
ちょこちょこ、確認しながら、噛み続けるのだ
まだ味あるかな、大丈夫かな、噛み切れるかな
ずっと、ずっと、ちょこちょこ気にしながら、噛み続けるのだ
そこにあるのは、きっと
愛なんかじゃ、ない。
息が、呼吸ができなくなったなら
なんとかして立ち去るくらいのことしか
きっと人には許されていなくて
今日も、ひとは
己をそこから引き剥がせないかどうかと
そこにいることで得られるメリットを
天秤の上に乗せて
上がっちゃった方に加勢しながら
ほら見て、バランス取れてるよ!って 泣き笑いしてるんだ
ほらみて!
バランス取れてるよ!
そう言っていたある日、全てがバキャンと壊れたけれど
ほらみて!バランス取れてるよ!
何にもなければ、とっぴんぱらり
そこにおわすは風風空気
なんにもないのは、ありえない。
ああ、そう、僕は呼吸ができない。
ボンベがわりのキーホルダー
呼吸ができない、僕がいるんだ。
吸い込み、揺らして、私を照らして
当たり前が
しみこむように
サポートいただけたらムスメズに美味しいもの食べさせるか、わたしがドトります。 小躍りしながら。