霊現象否0現象
10月10日。8:55分。
俺は原稿の見直し前に海外の犯罪紹介ゆっくり動画を観ながらスマホのパズルゲームもやっていた。
チルタイム。つまり一息つくというやつだ。
動画もゲームも観ているが、やってない。リセット状態にもっていく
ためにやっている。
「河村先生、河村先生」
突然、誰かに呼びかけられ、スマホを落としそうになった。
0.00000001秒で頭をフル回転させる。
怪奇現象? いや、この声は知っている声。しかも生きている声だ。0%。
電話? いや、スマホは手に持っている。着信は無いし、取ってない。0%。
ディスコード? いや、ディスコードの着信もないし取ってない。0%。
この声は何処からするのだ? 誰なのだ?
「河村先生、付けっぱなしだったんですか?」
実は、俺のことを先生と呼ぶ人間は限られている。そもそも俺は先生と呼ばれるのが大嫌いで、生徒と学校関係者、あと西浦和也の怖イ話のリスナー以外は呼ばないのだ。
そして、この声はⅯ先生だ。100%。
『付けっぱなしだったんですか?』
というワード。ZOOM!! ZOOMだ!
昨日のオンライン授業が終わった後、仮眠をとって、その後にずっとZOOMを付けっぱなしで作業していたのだ。ログアウトせずに! 100%。
そして、今日の朝の授業でインしたⅯ先生が気付いたという訳だ。
今年、一番動揺し焦った。
というか、Ⅿ先生と話している場合ではない。早くログアウトせねば。
「授業のネタで使ってください!」
というのが精一杯で、Ⅿ先生の笑い声をBGMに早々に退散した。
チルタイムどころか、すっかり目が冴えてしまった。
結局原稿を見直すと、抜けがあったので修正した。
集中すると色々忘れることもあるが、授業ログアウトに気付かなかったのは、はじめてだな。
昨日は、授業前からログインしながら仕事してたのもある。
俺は霊体験は0だけど、ありえない状況で突然話しかけられると、あんなに焦るんだ。良い体験をした。
というか、マジで起きてて良かった。寝ていたらⅯ先生や生徒に迷惑をかけるところだったよ。
いやあ、Ⅿ先生の笑い声は一生忘れられんだろうな。