ティル
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ティル。黒人の青年ティルが白人にリンチにあって殺害された事件についての映画。
母親は息子の亡骸を、あえてマスコミに晒して加害者を訴える。
息子のティルは片目がえぐりだされ歯を全部叩き折られ顔は膨れ上がり、後ろから頭を撃ち抜かれていた。
ティルは売店の女性を少しからかっただけだった。
女性の夫と友人に拉致され行方不明。
その後、川で発見された。
容疑者はいるが、拉致されたあとのことはわからず裁判は難航する。
また黒人の人権は無いに等しい時代で、さらに差別のひどい場所だったため裁判は不利に。
その中でも母親のメイミーは戦い続け、いつしか黒人の人権運動の象徴になっていくのだ。
これがフィクションだったら勝利して終わるのだが、残念ながら実際の事件を題材にしているので苦い結末になる。
売店の女性は「ティルに暴行されそうになった」と証言。
拉致を見ていた者や有力な証言を持つ者も報復を恐れていた。
結果は証拠不十分で無罪。疑わしきは罰せずというやつだ。
エイミーは、その後も生涯を通して人権運動のために戦い続ける。
息子を喪っている時点でエイミーにとっては悲劇なんだよね。
この映画自体は結構前に観たのだが、題材が重くて書くのを躊躇った。
またちょうどアカデミー賞で好きな俳優のロバート・ダウニーJrがアジア人のプレゼンター、キー・ホイ・クァンを雑に扱うという事件が起こったのと重なってしまったのもある。
キー・ホイ・クァンはインディ・ジョーンズやグーニーズに出ていた子役の俳優と言えばわかる人も多いだろう。
白人全体が有色人種を大なり小なり差別していると言われるが、人種を問わず無意識な差別はあると思う。
アメリカでの黒人の人権運動は今も盛んだが、まだましなほうだと聞く。
アジア人は十把ひとからげで日本も中国も韓国もないらしい。
ティルの中で黒人の人権については語られるがアジア人の話は一切出てこない。
すべての差別に反対している訳ではなく、アジア人は空気なんだよね。
題材的に黒人差別を扱うから他の人種については語らないのかもしれないが、それは「差別」について語るには不足しているのかもしれないと思う。
考えさせられることが多かった映画だし、俺も気を付けようと思うことが多かった。
重いけど一度は観たほうが良い映画だと思う。