アフターマス 復讐するは我にあり
実在の事件を題材にした人間ドラマ。
建設業のベテラン作業員ローマンは、奥さんと妊娠中の娘がクリスマスに帰ってくるのを心待ちにしていた。
ローマンは、人生で最高のクリスマスになるであろう、この日も真面目に仕事をしていた。
真面目すぎるローマンに上司も苦笑い「こんな日くらいは早上がりして良いよ。明日も休め」と送り出してくれる。
ローマンは不器用に笑いながら「クリスマスの飾りつけもした」と言って家路につく。
クリスマスの飾りがついた家で待てど暮らせど帰ってこない。
その時、空港へ呼び出させれローマンは花束を片手に向かう。
そこで聞かされる衝撃の事実。妻も娘も飛行機事故で亡くなったと言うのだ。
現実感がないまま空港を彷徨うローマン。
次第にニュースでも報じられるようになる。
ローマンは事故現場の清掃のボランティアに紛れ込む。
当然ながら遺族や関係者は入るのを禁じられている。
妻と娘を探しながら黙々と作業をしていると娘に送ったネックレスが木に引っかかっているのを発見する。
導かれるように歩き出すと、無残な姿で娘が横たわっていた。
もう息をしていない娘を抱きかかえローマンは泣き叫ぶのであった。
妻と娘の死体袋の横に座り込むローマンに声をかけられる人は誰もいなかった。
で、ここまでが序盤。内容的に重いし緊張感があるが見入ってしまう。
実は主演はシュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガー。
ここから航空会社へ乗り込んで大暴れするのかと思う人はいるだろう。
なんせパッケージが怖いシュワちゃんの顔がアップなので。
シュワちゃんのアクションを期待している層もあわよくば狙っているのが見える。
今回はアクションなしの人間ドラマ。シュワちゃんの違った一面が見える映画。
実はローマンだけが主人公ではなく、事故を引き起こしてしまった管制官のジェイコブも主人公なのだ。
ジェイコブは幸せな家庭を持つ普通の男なのだが、事故を引き金に全てが崩壊する。
事故はジェイコブだけの過失ではなく不幸な偶然が重なってしまったことが原因。
罪の意識に苛まれるが会社は謝罪をせず、ジェイコブのことを隠蔽しようとする。
どこからかジェイコブのことがバレ、誹謗中傷が家族にまで及ぶ。
会社はジェイコブに新しい名前と身分を与え、隠蔽に隠蔽を重ねる。
一方、ローマンは航空会社からの謝罪が一切ないことに納得がいかなかった。
無力感の中で、ジェイコブの存在を知る。
ジェイコブに会って一言でも謝って欲しい。
ローマンはジェイコブを探しだすことを決意する。
ネタバレなし感想
評論家の評価は良くなかったらしいが、とんでもない。
違った結末もあったかもしれない。
そう思わせる良い映画。
シュワちゃんの抑えた演技もジェイコブ役のスクート・マクネイリーの名演が光る。