良い製品を売れる商品へと変えるのがマーケティング
商品開発のお手本をご紹介します。
アパ社長カレーです。
一度見たら忘れられないインパクトのあるパッケージなので、ご存知の方も多いと思います。
既に700万食以上も売れている人気商品です。
元々は自社用に開発された業務用カレーでした。どうせならということでお土産に使える個食用として発売されたのがきっかけです。
開発当時のネーミングは「アパホテルの本格派ビーフカレー」でした。パッケージもカレーの写真が載っているだけ。
それにメスを入れたのがアパホテルの代表でした。
「アパホテルと言ったら社長」「逃げるなよ」「隠すなよ」「これじゃ面白くもなんともない。お客様も手に取らん」「ネーミングを間違うと誰も買わない」「アパ社長カレーでどうだ」「それならパッケージにも社長がいなきゃダメだろ」「インパクト重視だ。フロントに置けばいいお土産になるぞ」と怒涛の改編を加えて、700万食を販売する人気カレーが出来上がりました。
もちろん味は本物でなければいけません。でも、味が美味しいだけではここまで売れません。
なぜなら好みは人それぞれだからです。
アパホテル、アパ社長という資産を活用して、良い製品を売れる商品へと変化させたところに、700万食という販売実績がついてきました。
注意を引けなければ存在しないのと同じです。
売れない商品を作るのはマーケター
マーケターが陥りがちな罠が、アパ社長カレー開発担当の方のこの言葉に集約されています。
お客様の手に届けるためには、意表をつくインパクト、大胆で強気の戦略、話題性のあるトンガリ感が必要です。そして何より、自分のなかの「スマートにコトをおさめたい」という見栄に打ち克つ覚悟が大事、と痛感した一幕でした。
よく見られたい、実績を評価されたい、と誰もが思います。
そして、できるだけカッコよく思われたいというエゴがそこには含まれてきます。
より多くの人に手にとってもらいたいという情熱が先行していれば、選びたくない道も選べます。
目的に立ち返ればそれに気づくことができるので、常に目的を意識することが大事です。
スマートさが資産ならスマートさを推すのが正解になるので、自分たちがどんな価値提供ができているのか、自分たちに対してどんな価値を求められているのかを考えて、実行していってみてください。
p.s.
先日、僕はこのアパ社長カレーを郵便局の窓口で売り込まれました。売れてる商品は草の根活動を大事にしているなと感じさせられました。