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自分の命は他人のもの:ドラマ感想
最近自分が住んでいる県の警戒レベルが高まりました~。
お家時間再開!ということでU-NEXTユーザーの私は、過去に放送された日本ドラマを視聴しました。今日はそのドラマの感想を書いていきます。
※以下からネタバレを含みます。ご注意ください※
ついでにいうと重いテーマです。
暗くてズシンとくる作品が好きなだけに、私の感想系の記事は重くなりがちなのでなるべく明るくいきます(笑)
でも元気な時に読むことをオススメします。
ストーリ&各シーンの感想。
隔離された施設『陽光学苑』で、主人公である心優しい恭子、負けず嫌いな美和、癇癪持ちの友彦を含めた子供たちは宿舎で過ごしてきました。
ある日子供たちは校長先生から集められ、「あなたたちは生まれながらにして使命を持っている特別な子供」なのだと自分たちの運命を教えられます。
その使命とは、世の中の見知らぬ人たちに臓器提供をすること。唖然としていると「あなたたちは天使なんです」と校長先生は続けます。
て……てて、天使?!私の想像してた天使は完全に天国に連れていく側でした。フランダースの犬に出てくるあの天使です。
うーん。この世界は漫画『約束のネバーランド』を知っている方ならもっと想像つきやすいかもしれません。雰囲気も施設もあんな感じです。外に鬼なんかはいませんけど。
・・・ー少々脱線しましたが、ここからは簡単なストーリーを追いながら感想を書いていきますね。
物語の序盤から主人公・恭子の友達である美和は、ことあるごとに恭子に対して意地悪をします。小さなことから観てるこっちがムカムカすることまで。”理性的な恭子とは対照的に美和は感情的”な性格でした。この設定は物語に深みが増して面白かったです。真逆の存在って主人公が絶対しないことをしてくれるので必要だと思います。「美和なにしやがる」とは思うものの味がでるんですよね。
それから子供たちは成長し、陽光学苑を出ます。陽光学苑以外で同様の施設にいた人たちとコテージでのシェアハウスがスタートするのです。
\逃げてもバレる仕組みだい!/
そこは提供開始の通知がくるまでに過ごす最後の自由時間で、同時に提供が始まった人の介護を行う”介護人”の仕事を学ぶ時間でもあります。
提供開始の通知が届くと、即入院です。病院では命が尽きるまで提供→回復→提供……を繰り返すことになります。早くて10代ですっからかん、1度の提供で複数個所も臓器を抜かれることもあるそうです。想像しただけで病院を脱走したくなりますね。高齢者も若者から提供を受けるのでしょうか。
この章では運命に抗う者、受け入れる者、それぞれの話が展開されるのですが、陽光学苑の出身者である真実のシーンは特に辛かったです。民衆の前で自分の決められた運命に対して演説する姿がなんともやるせない気持ちになります。
真実から”普通に生きたい!”という姿をみせられたあと、民衆はどう感じたのか気になりました。ドラマ内では民衆たちは真面目に聞いてたのですが、現代であれば速攻スマホで撮影されてSNSに拡散されるだろうなあと。火事や事故を面白おかしく拡散する人もいるくらいですし。真実の勇気ある主張で変われば良いのですが……。
そうこうしているうちに、美和の介護人をしている恭子のもとに美和の提供通知が届きます。容赦なく三種同時提供のため、もはや人生終了のお知らせです。ここからのシーンは喜怒哀楽がハッキリしている美和だったからこそ、よりリアルな心情が伝わってきました。もし無感情な設定だったら印象に残ってないかも。美和役の水川あさみさんの演技は見どころです。
というか、医者とか臓器提供の管理者たちの手慣れ感がまるで家畜を扱ってるかのような冷たい扱いでした。
・・・ーと、ここから最終回に向けて、三浦春馬さん演じる友彦メインの話が始まりますが、全部ネタバレしたくない気持ちもあるし、この時点で長文過ぎるので最後までは書かないでおきます。
全部視聴後
ドラマなのでSFも交じっているのですが、臓器提供という身近にある題材なだけに視聴中は「もし自分が提供者だったらどうだろう」と考えさせられる作品でした。私だったら事実を知って苦悩を抱えるよりも、自分が何者かさえ知らないまま人生を終えたいかもしれません。
見ず知らずの人に臓器を提供することが最初から決まっていて、未来は完全に閉ざされ、普通に生きて老いることさえも叶わないって……感情や理性を持ち合わせたうえでこんな事実知りたくないし、知ったところで前向きになれるとは思えないからです。ただひたすらにタイムリミットが怖い。
逆に提供される側であっても人の命を奪ってでも生きたくはないと思います。提供する人間に心があろうが無かろうが、家畜同様には到底思えません。
ドラマの提供者達はいつ死ぬか分かっていたからこそ日々を懸命に生きましたが、私たちも自然災害・病気・事件・事故、何で日常が崩れるかは分かりません。
たまには人生で悔いのないように精一杯何かに打ち込んだり、行きたい・やりたいと考えるだけになっていたことを始めたりして自分の人生と向き合おうと思います。
例えば前から食べたかったクレープ屋さんに行くとか。(笑)
こうして物語に集中できるのも、演技力の高い役者さんたちのおかげです。子供から成長した姿への切り替えも上手く、それぞれの個性や動作も残っていて自然でした。見ごたえ度:★★★
ちなみに洋画で映画版もあります。
おわりに。三浦春馬さんについて。
紹介したドラマの他に『オトナ高校』というコメディドラマも視聴したところ、その作品にも三浦春馬さんが出演されていました。『わたしを離さないで』とは打って変わって、ハツラツとした役柄だったのですが、役の引き立て方が上手かったです。
「どのジャンルでも似た演技だなあ」とか「役者そのものが目立つなあ」と思うことなく、しっかり物語に入り込める世界を作り上げてくれます。
特に微細な表情や動作が上手く活きていて、”三浦春馬”ではなく、完全に”役”に成りきれているんですよね。役柄を巧みに演じ、三浦春馬という役者を視聴者に感じさせないというか。ルックスの良さも演技で抑えられる凄さを持っています。
彼は役者人生の道半ばで故人となってしまいましたが、今もなお人の心を動かす作品を届けられる、実力派の役者だったことを実感しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!