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絶望の重さは人それぞれ【ここは今から倫理です/マンガ感想】

何十年かぶりに新品でマンガを購入しました!
NHKでドラマ化もした「ここは今から倫理です」という作品です。
タイトルの通りテーマは倫理。
メッセージ性が強く、読み応えのあるマンガです。

◇ 作品はコチラ ◇

そもそも倫理って何

人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの。道徳。モラル。

だそうです。
読み始めは難しそうなテーマだなと思いましたが、物語を通して説明と実例を交えながら分かりやすく表現されています。

あらすじ

春。高校3年生らは体育、情報などから1つの選択科目を受けることになった。抽選が行われるほど人気の授業もあれば、受けることすら嫌がられるものもあった。その中で、倫理の授業が行われる教室には15人が集まる。倫理を受け持つ高柳は最初の授業で、「倫理は学ばずとも困ることはない」と、冷淡な様子で説明する。その言葉にある生徒は圧倒され、ある者は嫌悪し、ある者は尊敬の目を向ける。
※Wikipediaより引用

この作品は選択科目で倫理を教える主人公の高柳先生と、それを受ける生徒たちとの物語がオムニバス形式で進みます。

親の期待に応えようとする生徒、ジェンダーに悩む生徒、いじめられている生徒、SNSに依存している生徒など、個性ある生徒たちを相手に、高柳先生が生き方のヒントをくれる話です。

倫理を説く際、ソクラテスやプラトンといった哲学者の言葉が引用されており、文章を読んで理解できなくても、生徒の状況と照らし合わせて物語が進行するので、理解しやすくなっています。

印象に残っているセリフ

いつも明るく楽しそうしていたはずの生徒が、自殺を図ろうと屋上にいるのを高柳先生とその同級生が発見したシーン。

同級生の酒井さんは自殺を止めようと「バカじゃないの!?そっそんなの…死ぬ事に…命の重さに比べたらちっちゃい事じゃないか!!」と叫ぶ。

そこで高柳先生は『違います!!』とすかさず言います。

恋に破れても…家族が死んでも いじめられても 就職に失敗しても 仕事がイヤでも お金がなくても 人生が…退屈でも!!
それがどんな理由でも 命に換わる程重い絶望になるんです!!

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出典:ここは今から倫理です。 コミックス1巻

続けて『あの網の向こうに行く為にどれほどの覚悟が必要な事か…』と。

落ち込んでいる人や自殺しようとする人にかける言葉で
「未来がある」「生きていれば良いことある」「辛い人なんて他にもいる」
そんな励ましの言葉をよく聞きます。
一理あるのですが、こういった時に不確かな未来や他人のことを引き合いに出されても、その時の本人にしか分からない苦しみがあると思うのです。

だからこそこのシーンは私にとって印象強く残りました。
死を否定せず、キレイごとで包むわけでもなく、個人に寄り添った優しい言葉だなと。

高柳先生の言葉の通り、どんな理由でも人によっては命に換わる
この物語を読んで、自分が現実で同じ場面に遭遇したとき、咄嗟にどんな言葉をかけられるだろうかと改めて考えるキッカケになりました。
友達や家族が苦境に立たされているときこそ寄り添える人間でありたいです。

おわりに

このマンガ、どの話もず~っと考えながら読んでました。
マンガを読むのにこんなに頭を使うのかっていうくらい。
10代の生徒の悩みに沿った物語ではあるものの、現実と重なる部分も多く、マンガ全体を通してたくさんの気付きが多かったです。

倫理に正解はありませんが、正解がないからこそ人の数だけ答えがあり、なにより考えることが楽しいと思えたマンガでした。

人間は考える葦である
ブレーズ・パスカル


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