2年5ヶ月ぶりにHameeに戻ってきました!大好きなAdobe(アドビ)を辞めて目指す新たな挑戦
Adobe(アドビ)という会社をご存じですか?
アドビという会社名は知らなくとも、Photoshop(フォトショップ)は有名です。「クリエイティブ」と呼ぶものに関わるお仕事をしている人は、あのAのロゴを毎日見ている人がほとんどかもしれません。
そのアドビに在籍していた私が、アドビの素敵なところ、そしてそのアドビを辞めて、なぜHameeにいるのか、そんなことを書いていきたいと思います。
自己紹介
初めまして。2021年5月に新設された「DXマネジメント室」に所属している三原と申します。
Hameeに2021年6月に入社した私が何者で、新設部署は何をしていて、どんなことを目指しているのか、社内からも何度か聞かれるため、このnoteにまとめておこうと思います。断っておきますが、長いです。
実は、Hameeに入社するのは初めてではなく、2年5ヶ月ぶりの再入社です。2008年から、自社ECサイトであるHamee本店(当時はStrapyaの名称でした)を担当した後、ネクストエンジンの営業チーム組成に伴い異動、マーケティング組織の設立・マネージメント等を経て、アドビに転職したのでした。
アドビに入社したわけ・どんなことをしていたのか
マーケティングの業務範囲は多岐にわたります。リーチを拡大し、集客につなげ、コンバージョンを獲得して営業活動へ。ブランディングや広報戦略に関わることも。それぞれの項目で専門書が何冊も存在し、記事の1本や2本では収まらないノウハウや苦労が存在します。
それらの業務を効率化し、推進するためのサービスや技術の台頭がめざましい分野でもあり、非常に魅力的なテクノロジーが次々と誕生しています。
アメリカでは毎年 MarTech Conference というマーケティングのためのサービス展示会が開催されており、ここで Marketing Technology Landscape というサービスのカオスマップが発表されています。
特に2020年には8,000ものサービスが並び、2011年に150ほどだったことを考慮すると驚異的な伸びを見せていると言えます。
▲引用元
Hameeでマーケティング活動をしていた当時、そんな環境の中でマーケティングの業務を行っていると「自社のマーケティング活動に閉じている限り、この流れに取り残されるな」という危機感や「マーケティングツールのベンダーか、マーケティングのコンサルティングサービスを提供する会社でもなければ、そのキャッチアップはできないだろうな」という諦観がありました。
そのタイミングで、アドビに在籍する知人から誘われたこともあり、マーケティングテクノロジーの最前線に身を置くため、転職することを決めました。
理想の環境と優秀な同僚、充実した社内ドキュメント
まさに、アドビはこの希望通りでした。Adobe Analytics、Adobe Target、Adobe Experience Manager、Adobe Marketo Engageなどのツール群を通じて、「顧客体験をどう統合・最適化し、より良いものを提供していくことができるか」ということを有名ブランドのマーケターと議論し、改善していく、コンサルタントの立場として働かせてもらいました。
最初はアドビのツール群について、完全に「はじめまして」の状態だったこともあり面を食らったのですが、ものすごく優秀な同僚・先輩・上司の面々に助けられ、迷惑をかけ、指導してもらいながら、なんとか仕事をしていました。
公式に提供されているヘルプドキュメントについては自動翻訳の日本語などもあり、若干不評なところもありますが、それでも充実したドキュメント群と社内専用のトレーニングプログラムも存在し、とても恵まれた環境でした。
【たとえばこんな環境がありました】
・O'Reilly online learning(以前はSafariという名称でした)で技術書が読み放題
・Linked in Learningでマーケティングに限らず組織運営やリーダーシップなども学べる
・getAbstractという書籍要約サービスを通じ、会社のヴィジョンや哲学を感じ・考え・また後輩に伝えるために目を通しておくべき書籍とその内容も案内されている
ユーザー向け、社内向けのイベント
ユーザー向けのイベントでは、クリエイティブ関連だとAdobe MAXが有名です。デジタルマーケティング関連だと Adobe Summitの他、国内で開催したAdobe Symposiumもあります。
2019年のSymposiumでは In Store Experience: Adobe Experience Cloudを活用した店舗での未来の顧客体験 として、「映像・動画サイネージの体験状況可視化」 「試着室での1:1コミュニケーション」といった部分の準備とブース運営に関わらせていただきました。
実店舗の顧客導線の可視化は、ブランド価値計測のためにも実現したいと考えていたので、非常に嬉しい体験でした。
社内向けのイベントも様々で、ファミリーデー(※記事は2018年開催のもの。2020年は開催中止)に参加した息子・娘はとても喜んでおり、転職に伴い「もうあそこに行けないのか」と残念がられたほどです。
圧倒的なブランド価値
アドビという会社は先に述べた通り、クリエイティブ関連で非常に強いブランドです。ちょこっとインターネット黎明期を知っている人からすると、PDFとかの会社のイメージでしょうか。
PC上におけるドキュメント・印刷物レイアウトの仕組みを作り、そのドキュメント管理の仕組み、デザインのためのソフトウェア、そしてデザインされたものが適切に配信・リーチしているかを計測し最適化するツール群、みたいに考えるとアドビの進化と、そのビジネスの組み合わせの強さが垣間見えるのではないかと考えています。
実際に時価総額の伸びは著しく、昨年にアメリカの著名なベンチャーキャピタルが「FAANG(Facebook/Apple/Amazon/GAFA+Netflix/Google)のことは忘れて、MT SAASを見よ」というような記事を出しています。
MT SAASとは
ある企業の頭文字を集めたもの。これからの世界を引っ張っていくといわれている注目の企業群。
「M」:Microsoft
「T」:twillio
「S」:Shopify
「A」:Amazon
「A」:Adobe
「S」:Salseforce
キャリアをどう考えるか
・やりたい仕事
・優秀な仲間
・興味深いイベント
・強固なブランド
そんな魅力が揃っている会社を辞めるのは、そこそこ重い決断でした。特に家族の理解を得ることに時間をかけました(笑)
それでも、Hameeに戻ろうと考えたのにはわけがあります。
一つは「これから」の面白さ、わくわく感。もう一つは「自分の仕事」についての考え方。
Hameeでできる仕事には先に述べた通り、時流に乗りきれない可能性があります。それでも「これから」を自由に考えることができることは非常に魅力的だと考えました。
そして、その「これから」を考えることについて誘ってくれた比護さんの存在が大きいです。そのこれからをわくわくさせてくれる記事はこちらに。
また、コンサルやベンダーで仕事をしていると、それまでのキャリアを「事業会社」か「支援会社」で分けて考える人が大勢います。これ自体は合理的な考え方だと思います。Hameeは間違いなく前者です。
支援会社の仕事をすると、数多くのブランドやビジネスに携わることができ、自分の経験にとってプラスになることが多くあります。とはいえ、支援対象のビジネスが大きく成功しても「コレ自分がやった」という実感は得にくいのも事実だと思います。
もちろん「コンサルティング」という事業は自分がやった、と言えるものかもしれません。ですが確立したブランドを持つアドビにとって、そこで求められるものは自分の考える将来像と少しだけ違ったように感じたのでした。
何をするかよりもどうあるか
ごくごく当たり前のことを書くようですが、お仕事をしていると、やりたいことはたくさんありますし、組織に求められる、やるべきこともたくさんあります。
「やること」についてフォーカスしていると、人間誰しも自分の計画は純粋なもの、まっすぐで正確なものと考えがちですが、実際には間違うこともあり、曲がっていることも、もしかしたら登るべき道が違っていることすらあるかもしれません。
それでも、仕事を楽しく、前向きに続けるのだとすれば「何をやるか」は大切だけれども「自分がどうあるか」をより重視したい、そんな風に考えています。
「クリエイティブ魂を燃やす」のも「デジタル体験で世界を変える」のも、私にとっては同じ線の上にあり、そんなに変わるものではありません。やることは変わりますけどね。
インターネットが好きで、そこに関わり続けたい、世の中に少しでもインパクトを与えたい、そんな自分でありたいな、という願いを抱いています。
DXマネジメント室のこれから
部署新設の目的について、先に発表したプレスリリースには次の通り記載しています。
「プラットフォーム事業における事業拡張、新規事業創出のためのデータ基盤確立等、DX推進とデータセントリックな体制、環境構築を担う組織」です。
まずはデータ基盤の構築・強化が何より重要です。ネクストエンジンには、年間9,400億(2021年4月末時点)以上の流通のデータと、その流通を支えている店舗のデータを保有しています。
まだデータとして不足している部分もありますが、これを強化し、より社内で活用される状態を目指していきたいと考えています。このデータ基盤関連の業務については早速取り組んでいますが、優秀な仲間がいるため、これからが楽しみだと感じています。ユーザーのビジネスがさらに伸びていくように、データの面から貢献できるようにしていきます。
同時にDX推進と体制や環境構築も進める必要があります。DX推進というと、効率化の側面もありますが、アドビが売り切りモデルのソフトウェアをサブスクに変遷させたのと同様に、デジタルの恩恵を最大限利用する企業変革をどう実現するかということを念頭に考えています。
そのために、「できていること」と「できていないこと」の整理をし、優先順位を立てて取り組んでいきたいと思います。このあたりは、アドビで得た知見を活かすことができると考えています。
UI/UX上の課題があるサービス・サイトも随所にあります。ユーザーの利用状況から、具体的な内容を明らかにして、いろいろな部署と協力しながら改善方針を作ることも進めていきます。
この課題を特定し、レポートするために、前述のデータ基盤が重要です。ユーザーにとって本当に使いやすい・わかりやすい状態にする、そのためにどうしたらいいかを一緒に考え、試行錯誤していく文化を、社内に根付かせたいと思います。
Hameeの築いてきた資産が最大限活きるよう、必死で考えて、社内外からたくさんの人の意見ももらいながらやっていきたいと思います。堅い話ばかりしていますが、基本スタンスは「あかるく、かるく、おもしろく」でやっていきます。
結びに
・アドビでやってきたこと
・アドビという会社で働く魅力
・それでもHameeに再度戻ったわけと、これからやること
などを書いてきましたが、こうやって書いてみると、「やっぱりアドビという会社大好きだな」という気持ちがあふれ出ているように思います。それでもHameeで仕事ができることをめちゃくちゃ嬉しく感じていますし、これからが楽しみでもあります。
正直に言って、Hameeでもらったロゴ入りTシャツを着るのと、アドビのロゴ入りシャツを着るのとではアドビのシャツの方が気持ちが「あがる」体験だと今は感じています。
でもいつか、負けないぐらいに、いやそれ以上に、ロゴ入りのノベルティが価値あるものとなるように、価値ある仕事をしていくつもりで臨んでいきます。
◆記事を書いた人
PROFILE:三原 信基(みはら・のぶき)
Hamee(当時StrapyaNext)の自社ECサイト担当を経て、ネクストエンジンの拡大に伴い営業チームに異動、マーケティング部門の組成や責任者等を経て2019年にアドビへ。デジタルマーケティングのコンサルタントを経験したのち、2021年Hameeにカムバック入社。