NE株式会社スピンオフIPOに向けて―。ネクストエンジン生みの親が語るHamee開発部門の可能性
今年7月、子会社であるNE株式会社のスピンオフIPOに向けて事業を加速させるため、Hamee株式会社の取締役を退任された鈴木さん。クラウド(SaaS)型EC Attractions「ネクストエンジン」の生みの親として長年Hameeの開発部門を牽引してきた鈴木さんに、これまでのことや今後の展望について詳しくお話を伺いました。
クリ魂を燃やしたHameeロゴコンペ
――Hameeで一番クリエイティブ魂を燃やしたエピソードを教えてください。
鈴木:何かに取り組む時はいつもクリエイティブ魂(クリ魂)が燃えているので、一番のエピソードを選ぶのは難しいですね。
期限がシビアな短期プロジェクトでも、5年後や10年後の形を考える長期的な活動でも、どんな事象に対してもクリ魂を燃やしています。好きなのは広義の”つくる”フェーズなのでより一層燃えます。
印象に残っているのは、社名変更のコンペです。
デザイナーとエンジニアと私の3人チームで挑戦したのですが、残念ながら負けてしまいました。その際に決まったのが「Happy mobile, easy e-commerce」を略したHameeという現在の社名でした。
負けて悔しかったので、その後開催されたロゴのコンペにも挑戦することにしました。CI(コーポレート・アイデンティティ)の本を買い込んで資料をつくり、ロゴをデザインしたんです。それが見事に通って、現在のHameeロゴとして採用されました。専門外でも挑戦してみるものです。
また顧客理解を深めるために、自分をペルソナに重ねたり、なりきったりして、より良い仕様を考えるプロセスもクリ魂が燃えました。この過程で生まれたアイデアが、現在のネクストエンジンのコアになっています。
大事なのは“変化を恐れない”&”ユーザーの声に耳を傾ける”
――今や6,000社を超えるEC事業者の皆さんにご利用いただいている「ネクストエンジン」ですが、立ち上げからの軌跡を教えてください。
鈴木:3つのフェーズで考えてみました。
開発フェーズ: 最初のユーザーであるHamee社内でEコマースのバックヤード業務を学び観察し体験し、その情報をもとに効率化、自動化、作業ミスの低減、業務フローの最適化を考えて設計し開発するサイクルはとても楽しく熱狂していました。特に実際の業務プロセスを深く理解し、そこから本質的な課題を抽出する過程は、非常にやりがいがありました。かっこよくまとめて話していますが、実態はがむしゃらのドロドロでした(笑)
リリースフェーズ: リリース後は、お客様からの電話・メール対応、営業、セミナー登壇など、何でもやっていました。お客様と直接接することで次第に求められていること、困っていること、今後困りそうなことがわかるようになっていきました。この経験は製品開発の方向性を決める上でとても貴重だったと思います。色々なことを兼務するのは時間的に大変でしたが、やりがいもあり、自分の急成長にもつながって嬉しさの方が勝っていましたね。これもかっこよくまとめて言っていますが、実態はがむしゃらのドロドロです!
成長フェーズ: コツコツとユーザーが増え、社内に部署ができ、その部署や事業をリードする仲間が入社してくれました。さらに新卒で採用した仲間が育ち、中核を担うようになり、それぞれが自立自走・自己成長し、全体成長につながっていきました。今後も会社全体をもっと成長できる組織へと進化させたいですね。
様々な経験を通して最も重要だと感じたのは、“変化を恐れないこと”と”ユーザーの声に耳を傾けること”です。
技術は日々進化し、市場のニーズも変わっていきます。そうした中で、過去の成功体験に固執せず、常に新しいことにチャレンジする姿勢が何より重要なのだと学びました。
同時にユーザーの声に真摯に耳を傾け、その真意を理解し、驚きのある体験に変換し、製品に反映させていくこともとても大切だと思っています。
組織の成長とともに自分たちらしさも変化
――鈴木さんの考えるHameeらしさ、NEらしさとは何でしょうか?
鈴木:会社の“らしさ”には2つの意味があると思っています。一つは、にじみでる”らしさ”、もう一つはなりたい”らしさ”です。その2軸の”らしさ”を凝縮したのがパーパスやミッションやビジョンやバリューだと考えています。
ただし、この”らしさ”は固定的なものではありません。時代とともに、そして組織の成長とともに変化していくものだと考えています。
大切なのは、その時々で自分たちの”らしさ”を問い直し、必要に応じて更新していく柔軟性を持つことだと思います。Hameeは実際にこれを繰り返してきているからこそ、継続して成長できているんだと実感しています。
新しい技術領域にチャレンジできる開発環境
――開発者目線で見たときのHamee開発部門の強みは何でしょうか?
鈴木:まず、実践的な経験にもとづく課題解決力です。
Hameeは自社で複数のブランド、BtoCやBtoBのビジネスを展開しているので、開発部門も実際のビジネス課題に直接触れる機会が多くあるんです。
なので、より実践的で効果的なソリューションを生み出す力を持っています。
また複数ブランドを展開する企業特有の課題、例えばブランド間の在庫管理や顧客データ統合などに対してもしっかり理解を深めながら、独自の解決策を考えることができます。
一方で、先進的な技術領域に積極的に挑戦する姿勢も強みの一つです。
新しい技術やツール導入に積極的で、常にトレンドをキャッチアップするカルチャーなので革新的なソリューションが生まれやすい環境だと思います。
またエンジニアの自主性を重視して、新しいアイデアや技術導入を奨励する環境なので、エンジニアとしての成長機会がたくさんあります。そんな環境だからこそ、ネクストエンジンを生み出すことができました。
分社後もその環境は引き続きHameeにあります。既存の強みを活かしつつ、新しい技術領域に常にチャレンジできる環境はとても魅力的だと思います。
そういった意味で、このnoteを読んでくださっている皆さんには、Hameeが単なるメーカーではなく、開発領域でも無限の可能性を秘めた企業であることを理解してもらえたら嬉しいです!
技術を通じて社会に新たな価値を提供し続ける会社に
――最後に、Hamee開発部門に今後期待することをお聞かせください。
鈴木:Hamee開発部門に期待していることは大きく3つです!
一つ目は、技術革新の推進者であり続けること。
常に新しい技術トレンドにアンテナを張って、それらをHameeのビジネスにどう活かせるかを考え続けてほしい。技術のための技術ではなく、実際のビジネス価値を生み出す技術革新の推進者であってほしいですね。
二つ目は、ユーザー中心の開発姿勢です。
技術力を高めると同時に、常にユーザーの視点に立った開発を心がけてほしいと思っています。
ユーザーの潜在的なニーズを捉えて、それを技術で解決していく。そんなユーザー中心の開発姿勢を大切にしてほしいですね。
最後三つ目は、持続可能な開発文化の醸成です。
個々のエンジニアの成長が、チーム全体の成長につながるような文化を作ってほしい。
知識の共有、互いに高め合える環境作り、そして何より、開発する喜びを感じられる文化を築いていってほしいと思っています。
どれも決して簡単なことではないですが、Hameeにはこれまでの経験と実績、そして何より「チャレンジ精神」と「ユーザーファースト」のDNAが刻まれています。
この強みを最大限活かしながら、技術を通じて社会に新たな価値を提供し続けてくれることを期待しています。
――本日はありがとうございました!
インタビュー編集後記
プラットフォーム事業(ネクストエンジン、ECコンサルティング、ロカルコ)が分社すると聞いたとき、正直驚きました。
「ネクストエンジン」は開発部門の根幹を担ってきたサービスなのに、なくなったらHameeからITの側面がなくなってしまうのではないか?
そんな不安がよぎりましたが、現在もHamee開発部門は技術力を生かしながら全力で各事業部の成長を支えています。
Hameeのミッションである「By your side,人を彩るモノづくりと脱炭素の両立」にある通り、Hameeはものづくり主軸の会社ではありますが、バックには多くのエンジニアによるサポートがあり、まだまだ無限の可能性を秘めています!
数年後には第二のネクストエンジン、アッと驚くような面白いサービスが生まれているかもしれません。
ぜひ今後もHamee開発部門の活躍とNEの進化成長をご期待ください!
◆インタビュアー
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