Vol.04 遠州灘の自然環境を守りたい
浜松へちまプロジェクトへは「浜松の自然環境を守りたい」という想いから賛同してくださる方も多くいらっしゃいます。今回は夏に浜松西行政センターで行われていた「はまうみ博物館」を訪れ、遠州灘の砂浜のクリーンアップ活動や、馬込川・芳川河口周辺でのゴミのモニタリング調査、砂浜を健全な環境に守る活動や、それらの活動を市民の方々に伝える活動を勢力的にされている、浜松の海を守る会代表の清水浩利(しみずひろとし)さん(以下清水さん)に、お話を伺いました。
1.海岸の環境変化
「はまうみ博物館」では、清水さんが所有されている資料を展示することで、遠州灘の環境変化を伝えています。清水さんが日常的に環境保全活動をされている中田島砂丘周辺は、1970年代に最終処分場として不燃ゴミが埋められていた過去があります。それは砂で蓋をされていたのですが、その砂が長年の雨風や台風の影響で侵食されたり飛ばされたりして、ゴミが流出することがあるそうです。ガラス片やビニール、瓦礫など、本来はそこになかったものがある状態で、それらを拾う活動をされています。
また写真を辿って中田島砂丘を見ていくと、砂浜が侵食されて小さくなっていることや、離岸堤の建設、馬込川水門工事への着手などによる変化、馬込川・芳川が街中を通って中田島砂丘横に流れ出ていることなどの特徴などがわかります。
2.海ゴミの現実
清水さんはサーフィンがご趣味で、20代の時に海に入ろうとした際にガラス片で足を怪我したことをきっかけにビーチクリーンを始めました。当時サーフィン雑誌で「鎌倉の海を守る会」を知り、関係する環境NGOの一般社団法人JEANに出会い、静岡の事務局となって「浜松の海を守る会」を立ち上げます。ビーチクリーンだけでなく、漂流ゴミの実際を把握するためのモニタリング調査や、ゴミを減らすための啓発運動など広く活動されるようになりました。
「遠州灘は黒潮が沖を通っているので、遠方からの漂流物はお隣の伊良湖岬と比べると少ないです。ほとんどが、不法投棄されたものや生活ごみなど、この地域で出たゴミです。特に馬込川や芳川は街中を通る河川なので、生活ごみが多いです」
はまうみ博物館では、回収されたゴミの展示がされています。意図的に捨てられたものもありますが、風で飛ばされたもの、ゴミ捨て場でカラスが荒らしたもの、不意に落としてしまったもの、ゴミ回収車の荷台から落ちたもの、等など、ゴミとして砂浜にたどり着く経緯は多様なのだそう。
3.ゴミをなくすには
「ゴミを拾っても、ゴミはなくなりません。拾うだけでは解決にならないんです。プラスチックを使う機会を減らす必要があります。プラスチックは人間にとって便利なので、あれば使う人は使いますし、リサイクルをしてもプラスチックに生まれ変わるし、リユースをする物の素材もプラスチックだったりします。
だから、プラスチックそのものを使う機会が減れば、プラスチックゴミも減ると思うのです。
公共施設にある自動販売機の飲料をアルミ缶にしたり、大手ファストフードチェーンがプラスチックの使用を減らしたりしています。私は、コンビニ飲料をドリンクバーのようにして、マイボトルで販売したらいいのに、と思っています。影響が大きいチェーン店や大企業、行政から変えていくと、そのスピードは早まると思います」
気をつけていても出てしまうプラスチックゴミが環境汚染に繋がっています。浜松へちまプロジェクトのスタートも、プラスチックスポンジをへちまスポンジに置き換えることでマイクロプラスチックを減らし、プラごみを出さないための根本解決に繋がればという思いがあり、清水さんの思いに通じるものがあります。
4.安全で美しい海岸を後世に
はまうみ博物館に展示されていた「ハマゴウ(浜香)」の実が気になり、お話を伺うと、浜松五島海岸の群生地で採れた実だと教えてくださいました。香りを嗅いでみると、甘みのある爽やかな香り。昔中国の皇帝は枕に入れていたのだそうで、漢方薬にもなるといいます。清水さんはこのハマゴウの管理もされています。
遠州に生まれ育った清水さんは、子どもたちが安心して駆けまわれる砂浜を残したいと考えています。海岸の植物や生き物を守り、ゴミを減らし、美しい砂浜を後世に残すためにも、清水さんはこれからも勢力的に活動されていくことでしょう。
今後も定期的に「はまうみ博物館」が開催されると思いますので、出会った際にはぜひその資料をご覧いただき、清水さんを見かけられた際は、興味深いお話が聞けると思いますので、ぜひお声がけくださいね。
お話し:清水浩利さん(清水さんのFacebookはこちら)
浜松へちま・ミライ
Text,Photo Emiko MATSUO
Interview M.Gomyo
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