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Vol.03 人に、自然に優しい暮らしで、地域を繋ぎたい。

夏の日差しから建物を守り、室温上昇を和らげながら、涼しげな緑の景色を届けてくれる、へちま等のグリーンカーテンは、住宅に深く関わります。
株式会社サン工房 取締役であり、経営企画統括、リフォーム・リノベーション統括部長の増田 光さん(以下、増田さん)との出会いは、サン工房さんの住宅見学会で浜松へちまプロジェクトのお話をした時でした。
「お話を聞いた時は、面白いなぁ!と思いました。へちまにフォーカスしたことがなかったですし、へちまの可能性やプロジェクトそのものも大変興味深かったです。」とおっしゃる増田さんに、具体的にお話を伺うべく、サン工房さんを訪れました。

写真:お話を伺った増田さん

1.届けたい暮らしの価値観

浜松市中央区大平台にある株式会社サン工房さんは、1982年に設計事務所としてスタートし、1990年に設計施工法人となり、地域における住宅や店舗建築に携わられています。天竜材を中心とした地域材・自然素材を使う環境共生型の家づくりや、職人の技術や日本文化を守るための活動、地域拠点としての機能など、SDGsに積極的に取り組んでおられるのも印象的。
増田さんがサン工房に入社したのは、12,3年前のこと。当初は新築住宅の設計を担当されていましたが、中古物件のリノベーションや既存住宅のリフォーム需要増加から、現在はリフォーム・リノベーション統括部長として、広報から設計、そして現場管理までを担っておられます。

サン工房モデルハウス「リフォーム館」(2024年7月末現在)にてお話を伺う。この場所は、後述のワークショップやコミュニティスペース「hanaRe(ハナレ)」としてリニューアルオープン後、一般解放する予定。

サン工房に入社した増田さんは、地域材や自然素材がふんだんに使われ、外との繋がりを存分に感じられる事務所で過ごすうち、そのような空間での時間を心地よいと感じるようになります。

増田さん:
実家は、大工さんが作った昔ながらの日本家屋なんです。今住んでいるのは新建材に囲まれたマンションなのですが、事務所に来ると、空気感や肌に触れる手触りなどが気持ちいいなぁと感じます。リフォームを扱う時は、住まい手が高齢になった時のことを考えますが(現在がそうであることも多いのですが)、室内が暑くない・寒くないことは最低条件で、加えて手触りが良い、空気が気持ち良い空間にしたいと思いますね。住宅だけでなく、保育園・幼稚園や、高齢者用施設をそのような空間にしたい、という想いもあるんです。長く過ごす場所だから、住宅と変わらない空間にしたい。歳をとって弱った身体に優しい場所がいいなぁって私自身が思いますから(笑)

天然木の床、柱、枠材、漆喰の壁が心地よい空間。「日本の家をつくる」をテーマに、日本の伝統的な建築構法を学べる仕掛けを備えた社屋として2006年に建築された場所。2016年にリニューアルオープンして今に至る。テーブルや椅子、奥にあるキッチンもサン工房オリジナル。
無双窓からウッドデッキを見る。風で揺れる木漏れ日が心地よい昼下がり。

2.地域をつなぐ場をつくる

増田さんが事務所で過ごす中で、空気感や手触りが”良い”と感じたように、体験から形づくられる価値観は深く伝わるもの。気軽にその体験をしてほしいと、モデルハウスとして使用していたアトリエ『リフォーム館』を、地域の方々が集うことのできるショップ併設のコミュニティスペース「hanaRe(ハナレ)」として2024年9月28日にリニューアルオープンすることになりました。→リニューアルオープンは10月12日(土)に変更となりました(9月12日追記)

取材時は工事中であった、ショップとなる予定の場所。立派な梁をはじめとする明快な架構が印象的。

増田さん:
「hanaRe(ハナレ)」は、お散歩する人が休憩できるような街に開いた場所にする予定です。ショップには、もちろんへちまスポンジも置きたいですし、街のアロマ屋さんの商品や、地域の特産品、作家さんの作品など、環境にも人の身体にも優しい、衣食住にまつわるグッズを集めたい。キッチンやリビングなどのあるこの場所(取材場所)ではお料理教室などのワークショップを開いてもらって、日常生活ベースで様々なことを体験してもらえる機会を増やしていきたいです。地域に開かれた場所を提供し、衣食住のさまざまな情報交換をしていくことで、人々を繋ぎながら、暮らしの価値を伝えていきたいですね。

ワークショップなどを開く予定の場所。開放的なアイランドキッチンで、講師と参加者との交流も深まりそう。
オリジナル家具の使用感も体験できる。テーブルや椅子が天然木かつオイルフィニッシュで仕上げられており、肌に触れたときにさらりとして心地よい。

3.へちまに期待する可能性

増田さんは、前述のショップ&コミュニティスペース「hanaRe(ハナレ)」を計画している時に”浜松へちまプロジェクト”と出会いました。

「子供の頃にへちまスポンジで身体を洗った経験がありますが、硬くて痛かったような記憶があります。でも品種やつくり方で変わるのかもしれない。自分で育てて作ったスポンジなら愛着が沸くのではないかと期待もしています!」と笑う増田さん。

増田さん:
弊社はSDGsに積極的に取り組んでいることもあり、へちまプロジェクトに取り組むことは企業アイデンティティとも相性がよく、また提供したい暮らしにもマッチします。早速へちまを育てて、へちまの生態を把握しつつ、へちまを食べて、スポンジを作って、種をとって、来年もまた育てたい。まずは自身で体験してみて、来年はそれらをワークショップ形式でお客様や地域の方々と楽しみたいと考えています。

へちまをきっかけにしたワークショップや、へちまを使ったランプシェードの制作など、様々なアイディアを話してくださいました。
緑豊かなお庭の一角を担うへちま棚(写真左手)
ぐんぐん伸びるへちま。ショップ&コミュニティスペースへの改装を経て、来年はさらに大々的に植えてくださるそうで、今から楽しみです。

私たちとしても、へちまの魅力を伝えていく場所として、さらには、グリーンカーテンを考えた時に建物の外観に馴染むへちま棚のデザインや、一般の方が取り扱いやすいへちま棚パーツの開発なども協働できたらと期待しています。
増田さん、お話を聞かせてくださりありがとうございました!


hanaRe(ハナレ)完成予想図

2024年9月28日(土)2024年10月12日(土)(※9月12日修正)オープン予定のショップ&コミュニティスペース「hanaRe(ハナレ)」については、下記リンク先にて順次情報を公開していく予定ですので、ぜひご覧ください。

お話し:増田光さん

浜松へちま・ミライ
Text,Photo Emiko MATSUO
Interview M.Gomyo
Edit N.Otake

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