スリランカ法の本国法の特定等に関する実務上のヒント
1 はじめに
最近、noteへの投稿が減っております。そこで、過去当職が所属している外国人ローヤリングネットワークに投稿した内容を踏まえて、タイトルの点について述べたいと思います。
今回、需要はないものの、有料記事としました。
近況ですが、
2023年に国際私法年報で論稿を発表します。これは2021年の国際私法学会報告にもとづくものです。また、特定の外国の外国法に関する渉外家事実務に関する共著を出版予定です。
2 スリランカが人際私法国&地域的不統一法国であること
弁護士実務上、身分法(家族法など)が関与する渉外事件の場合、日本の国際私法である、法の適用に関する通則法で、準拠法を決定し適用することになります。
そしてこの通則法は、人の身分(結婚、離婚、相続、親子関係の成立、親子関係の内容(監護権や代理権など))について、当事者の本国法(国籍のある場所の法)を基準として、準拠法を適用するスタイルをとっています。
ただし、本国が①人の属性(宗教)によって適用される法が異なる場合や、②国の中でも地域によって法が異なる国があります。
そして、①を人的不統一国(マレーシアやエジプト、イスラエル、インド、パキスタンなどがそうです)、②を地域的不統一法国(アメリカ合衆国やイギリス、カナダ、オランダなどがそうです。)といいます。
今回のテーマ、スリランカは、実は①でもあり②でもあります(ナイジェリアもそうですね)…。
3 スリランカ国籍の方の本国法をどう決定するか
日本の国際私法である通則法上、本国法を適用するのであれば、まさにどういう民法(や家族法)が適用されるか、これを特定すればよいことになります。
しかしながら日本の国際私法では、当事者の本国法を準拠法とする場合であり、かつ、親子関係の内容、離婚、婚姻の効力、夫婦財産制以外の法律問題の場合には、
A:当事者の本国の国際私法のルールが、
B:その問題につき日本法を準拠法としている場合には
C:その本国の国際私法によって、当事者の本国法ではなく、日本法を準拠法とする
というルール(反致)採用しています(通則法41条本文、但書にも注意してください。)。したがって、このような場合には、日本法になるので問題はないのですが、反致が問題とならない場合には、やはり、当初述べたとおり、当事者の本国法を特定する必要があります。
この特定の方法は、上記2①の場合には通則法38条3項、②の場合には通則法40条で決定します。基本的には、その国にルールがあればそれに従い、そうでなければ当事者に密接な法を適用することになります。そして、スリランカは当該「ルール」不文ですが、以下のとおりの各法についてそれぞれ適用のルールがあります。
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