子供に優しい国
トルコの人たちは小さな子供たちが大好きだ。私の子供も小学校に上がる前くらいまでよく声を掛けられた。若い人も、大人も、年配者も。時には小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんまで声を掛けて可愛がってくれた。小さな子供たちに声を掛けるとき、大柄なおじさんの声のトーンがも上がる。
小さな女の子なら、カフェの店員の若いお兄さんまでも「プリンセス!」と声を掛ける。みんながそのように言っているから全く恥ずかしくない。普通だ。女の子たちも当たり前のように受け入れている。
ただ困ったことに、2、3歳くらいの子供にでも飴やチョコレートをあげたがる。バリバリの日本育ちの私はそんな小さな子に飴やチョコレートは早すぎると思っていたのだが、「いいから、いいから。」と言ってこちらが遠慮しているのかと思っているのか強引に渡される。子供と散歩に出掛け、顔見知りの人たちの家の前を通ると、「ちょっと待ってて」と家の中にお菓子を取りに行く。手には飴やチョコレートを持っている。
子供が2歳くらいのとき、抱っこして歩いていると、お姉さんが近寄って来て、「お菓子あげていい?」と言ったと思ったら、ポイっと子供の口に何か入れた。通常なら発狂ものだが、あっという間のことだった。お姉さんは満足して去っていったが、子供の口の中を見るとガムが入っていた。子供たちに何かあげたいと思う気持ちはトルコの人たちに接してきてよくわかったが、このことは今でも忘れられない。何もなくてよかったが、注意が足りなかった。
新型コロナウイルスがトルコで広がり始めたとき、子供たちのスーパーマーケット等、店内への入店は禁止された。その後、子供たちは外出禁止へ。その間、2ヶ月半くらいか。子供たちは外出を我慢した。
子供たちの外出禁止が解除されて、私の子供とスーパーマーケットに行った時のこと。店員さんがジロジロ見てきた。外出禁止は解除されたが店内入店はまだ駄目だったのかと思い、「子供の入店はまだ禁止だった?」と店員さんに聞いた。店員さんは答えた。「大丈夫ですよ。入れます。子供たちが来るのが久しぶりで嬉しくて見てました。」と。