日本酒の酸はどこから来るの?
先に、香は有機酸とアルコール由来という事をお話しましたが、それでは、その有機酸はどこから来るのでしょう?
それには、まずは、日本酒のスタート、酒母の話をしなくてはなりません。
日本酒のスタートでは、まずは「酒母」をつくります。
酒母は麹と蒸した米と水を混ぜたものですが、最初はいろんな雑菌が入ってきます、その中でまずは硝酸還元菌が毒物の亜硝酸を作って、他の菌を圧倒します。
しかし、そのうち、亜硝酸に強い乳酸菌が増えてきてが乳酸を出しまくり、硝酸還元菌は哀れ全滅してしまいます。
しかし、最終的に酸の強い環境でも増えられる酵母菌が増えてきて、アルコールを出し、乳酸菌もお亡くなりになります。
実によく出来た仕組みです。この二段階め課程で、日本酒に最もたくさん含まれる乳酸が作られます。 (速醸系の酒母では、最初の二段階を省略するため、別に作った乳酸を添加しています)
しかし、ネット上のJ-Stageに掲載されている「少酸性および多酸性清酒酵母の育種」吉田清 著 - ?1995によるとhttps://www.jstage.jst.go.jp/…/jbrewso…/90/10/90_10_751/_pdf
標準的な吟醸酵母である協会901号ではクエン酸72 ピルピン酸210、リンゴ酸310、コハク酸401、乳酸240、フマール酸2、酢酸110、ピログルタミン酸17(単位ppm)となっています。
これを見ると、確かに乳酸は多いのですが、乳酸以外にもたくさん種類の有機酸が存在する事がわかります、では、これらの有機酸はいったいどこから現れたのでしょう?
意外な立役者ミトコンドリア
酵 母に限らず、酸素呼吸をする細胞にはクエン酸回路と呼ばれる酵素の連鎖があります。これは細胞内のミトコンドリアが持っているいわば細胞の発電機です。
このクエン酸回路(TCA回路)は、ブドウ糖かから得られたピルピン酸が酸素があれば、まずクエン酸になることからクエン酸回路と呼ばれていますが最終的には9段階からなる環状の代謝経路でエネルギーを取り出しています。
しかし、日本酒の発酵のような酸素が無い状態では、逆方向の反応が進み、ピルピン酸はリンゴ酸になり、それが、フマール酸となり、さらにコハク酸となります。
実は日本酒に含まれる有機酸は、概ねこの4つの酸プラス、発酵の初期に乳酸菌によって作られる乳酸をくわた5つの酸と若干の酢酸によって構成されます。
つまりこのクエン酸回路の途中で生産された有機酸が日本酒の酸の量を決めているわけです。
ちなみに、このクエン酸回路は9段階の酵素反応ですが、格段階の酵素の量により、酸のバランスが決まります。
リンゴ酸をフマール酸にする酵素が少なければ、リンゴ酸が多いお酒になるし、フマール酸をコハク酸にする酵素が少なければフマール酸の多いお酒になるわけです。
つまり、乳酸以外の有機酸のバランスは、酵母菌にが持っている酵素のバランスによって決まるわけですね。
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