42歳無職が生まれるまで①希望に満ちた転職

とあるIT系企業(A社とする)の企画職として、6年が過ぎようとしていた2023年の夏。
コロナ禍を経て会社は社員全員を基本リモートワークとし、オフィスも縮小したため在宅での作業を推奨していた。


私は20代~30代前半にかけて広報の仕事をしていたが、「自分は本当に広報に向いているのか?」と自問自答するようになり、一度広報職から離れてみようと考えて30代半ばにしてA社に転職した。
A社での日々は刺激は少なくとも安定していて、同僚や上司も人間的に尊敬できる人に囲まれた、居心地の良い場所だった。
しかし、リモートワークに切り替わってからは人と接する機会が激減。
もともと人と接することが好きだった私は、人と関わることの少なくなったA社での日々に「本当にこのままでいいのか」と疑問を感じるようになった。


そしてリモートワークの合間に、ちらちらと転職サイトをのぞくようになった。気が付いたら探しているのは広報の仕事。
A社でのキャリアは企画職に分類されるものではあったが、この会社でしか通用しないスキルや経験が多く、自身のキャリアを整理したときに出てくるのは激務をこなした20代~30代前半の広報職時代のものばかりだった。

とはいえ、広報の転職案件はそう多くはない。
いつ見てもあまり変わり映えのしない転職サイトの募集案件に目を見ていると、一件目を引く企業があった。
とあるエンタメ系企業(B社)の広報。
子どもをメインターゲットとしたこのB社は、今私が住んでいる地域では知られた名前で、イメージも悪くなかった。

6年間のブランクもあるし、どうせ落ちるだろうと思いながら応募したら、なんと書類通過。その後もあれよあれよという間に面接が進み、応募してから2か月後には内定の連絡が来た。


私は大いに迷った。
現在働いているA社は、人との関わり合いは少ないけれど居心地のいい会社。基本リモートワークで通勤はなし、自分の時間も確保できるし働きなれている。給料だって多くはないけど、妻と2人の生活なので問題はない。
内定をもらったB社は大変そうではあるけど、この年齢で広報職に戻るなら最後のチャンスかもしれない。年収も100万円くらい上がる。人間関係は未知数だけど、人に夢を与える職場だ。面接で会った上司に当たる人や人事の人もとても感じが良く、不安はなかった。

妻とも相談を重ね、私はB社へ転職することを決めた。
この時点では、良い機会に恵まれたと心から思っていた。

まさか、1年も経たずに心を病んで退職してしまうとも知らずに。

#休職 #転職 #40代 #退職 #広報



いいなと思ったら応援しよう!