ある意味、生産の花形。
ultimate=究極の
clothing=衣類を
works=作り上げる
ulcloworks Inc.(アルクロワークス株式会社)の社名の由来です。
大層なことを言っているようですが、僕らが考える"究極の衣類"は、お客様が喜んでくださって、関わってくれる皆さんも幸せになれるような衣類を指します。
何も僕らが作り出す物が、それこそ、どこそこのハイブランド御用達云々、日本国内のどこそこ産生地だから至高的な究極の品質だと誇示したいわけではありません。
それを相当の価値と認めるかどうかは、あくまでお客様なので、そういう選択肢もありつつ、引き算も適宜していくことで満たされる『幸せ』も当然あります。
なので、自分たちが作り出すものこそ至高と言い切っている人たちとは少し毛色が違うかもしれません。
僕は元々、地方生地産地のテキスタイルメーカーに所属していたので、本来であれば、産地ごとのストロングポイントを産地ブランドとして発信していくのが生地産地が僕らに求める『仕事』だったのかもしれません。
ところが、『技術』や『品質』またはそれに伴った『価格』というのは、あくまで作り手側が定義する『良さ』であって、売れて初めて意味のある世界では、どんなに崇高な技術も価値として認められないというのが事実です。
どんなに優れていても、求められなければただのエゴになってしまう、ある意味残酷な世界でもあります。
仮にどうでしょう、僕はバンドマンとして音楽を通して皆様の幸せを満たしたいと思い、自分の考える音楽の至高を求めて楽曲制作をしていたとします。
その作品を世間に発表したとき、例えばそれぞれの技術も素晴らしく、楽曲の完成度も高かったとして、今この時代でその音楽を聴きたいと思ってくれる人たちに届かなければ、どんなに優れた楽曲も隠れた名盤に成れれば良い方で、そもそも存在さえなかったかのように忘れ去られていってしまうものになってしまうと思うのです。
この楽曲を、世間の嗜好に添わせた形でプロデュースしたり、その素晴らしい楽曲を一人でも多くの人たちに届けるために流通を考えたりと、そういう人たちも存在してくれて初めて成立する産業だったりする、と言えばイメージしていただきやすいかと思います。
つまり、どんなに日本製各地の産業が優れた技術を持っていたとしても、テキスタイルや縫製技術などは、あくまで洋服を彩る一部でしかありません。その洋服のピースの一つでしかない縫製や生地、さらにその中の、仕上げや、プリント、洗い加工、縫製や裁断、製布、染色、紡績、これらの中でもそれぞれの『矜持』を全て100%で主張されても、うまく服としてまとまらないケースがほとんどです。
僕たちは、どんなに逆立ちしても中間業者です。ブランド様やメーカー様が表現したい世界、またその世界に憧れて洋服を手に取ってくださるお客様たちが、喜んでくださるような洋服作りのお手伝いさせていただくために、お店を周り、そこに集まる人たちの喜ぶポイントを見たり想像したりして、依頼に添って生産背景の組み立てをしていきます。
その時に適宜マッチしそうな生産地や工場様をピックアップさせていただき、産地企業様の得意な世界を十分に発揮していただいて商品を作っていただく、このお手伝いをさせていただいているに過ぎません。
ところが、産地企業様には設備環境上、取り扱い品目によっては得手不得手があります。
また一方で産地企業様からすると、お客様が織物の産地に編み地を求めるのが筋違いと言われても、お客様自身が生産背景の特性を理解していなければ、適正なオファーもできません。
生産地もお客様のさらに顧客様の嗜好を理解していなければ、自分たちの技術でお客様方の幸せを満たせる範囲を見誤ることになります。ズレてしまえば、産地企業様側からの提案もお客様にとっては、ただの押し付けになりかねません。
今の繊維産業の現状はこの辺りの齟齬が大きいと感じています。
作り手は買い手がわかっていないと思っている節があるのは否めません。
一方で買い手は、作り手にもっと市場の細分化の理解をして欲しいと望んでいるところもあります。
それぞれにそれぞれの素晴らしいところがあり、それを求める市場の許容予算と、それに添った上で品質をある程度担保するために生産背景の組み立てをしていく、中間業者はそういう、生産のディレクションができる裏方の花形でもあると思っています。
そういう側面で見れば、とても意味がありやりがいもある立ち位置かと、僕は思います。
今の世相的に、中間業者不要論が上がっています。
その理論は確かに真っ当なようで、実際にやってみるとなるとその不要な存在の大切さに気付かされる場面が多くあると思います。とは言え、僕自身は無理くり間に挟まって利権を確保したいという思いなど微塵もありません。むしろ、お客様が生産をしっかりと理解して、生産者様と直接、双方ストレスなくものづくりできる環境が作れるのであれば、そのほうが圧倒的に健康な状態だと思います。
今僕らは中間業者として、お客様に求めていただいているので、中間業者としての事業が成立していますが、お客様が仕入れ先様と直接やりとりができるのであれば、それはそれでこの商売のアガリと考えています。だからその先に、この業界でやり続けていくための事業も考えています。
詳しくは下記リンクを参照していただければ幸いです。
-2021/9/3追記 今年度の募集は締め切らせていただきました。たくさんのご応募ありがとうございました。-
僕自身、縫製工場を営む家族のもとに生を受けました。ここまで育ててくださった佐渡ヶ島や地域、また両親に対する恩返しと、全く詳しいわけではないですが、やっぱりファッションが好きという、そういうモチベーションでこの業界と向き合っています。
もしこの思いに賛同してくれる方がいらっしゃったら、ぜひお話しませんか。ご連絡をお待ちしております。