あたしの人生、人の役に立つか?11
私の仕事 その4
秋くらいだっただろうか。
少し半そででは肌寒かった頃だったと思う。
私は家から通える距離の
産婦人科病棟に再就職した。
そこの産婦人科は
このあたりでは出産数が多い病院で、
毎日満床になっている病院だった。
お産で入院している方、
不妊治療の副作用でしんどくなって
入院される方、
つわりがひどくて食事がとれず
入院になる方、
帝王切開で入院になる方。
切迫流産、切迫早産で
入院になる方など
色々であった。
病院には院長、
助産師、看護師、
ヘルパーさん、事務員さんが
勤務している。
外来と病棟の看護師の
仕事のすみわけはあるため、
外来看護師と一緒に
病棟で仕事をすることはないが、
外来看護師さんにもいろいろと
仕事を教えてもらった。
産婦人科病棟は
後にも先にもここだけであるので、
他の産婦人科の様子が分からないのであるが、
仕事以外にも覚えることが多く
大変であった。
大きな病院であると、
オートマチックの点滴なので
滴下数をセットすればいいのであるが、
昔ながらの薬とルートだけの点滴は
自分で時計をあわせないといけない。
計算はできるのだが、
「時計を見ながら滴下数を合わせる」
これがすっごくすっごく苦手だった。
針は血管に入って、ルートも取れる。
計算もできる。
けれども、
例えば「10秒間に何滴落ちるか?」に対して
目視で点適筒に落ちる滴下数を合わせて、
点滴のクレンメを触って
滴下を合わせるのが本当難しくて、
時間がかかってしまっていた。
あまり時間がかかると、
他の病室にまわる時間や
お産の用意等の時間がなくなってしまうので、
出来る限りてきぱきしたいのだが、
なんせ自信がなかった。
看護師の友達は、
「なんで難しいの?」という感じなのだが
私にはとても難しく感じられた。
なので、あわせてみたものの、
ちゃんと時間に落ちているのか
こまめに病室に行って確認していた。
本来、患者さんの様子をこまめにみるのは
看護として必要なことなので
これでいいのだが、
いかんせん、自信がなくて必要以上に
病室に訪問していた。
手術室に入るのも初めてで、
オペ看護をするのも初めてだった。
「20代には難なくできていたのが
30代になるとこうもできなくなるのか?」
とすっごく痛感した。
オペの流れを覚えるだけで精一杯。
『まわり見ながら動く』ことが
本当難しかった。
記録もなかなかキレイに書けない。
血圧や酸素濃度などを
記録するだけなのだが、
緊張度が高いせいかうまくできない。
「数をこなすしかない。」
とは思いつつも、
やはり何度も先輩看護師に
質問もできないから、
何度もノートを見て覚えていた。
切迫早産の方は
NSTというモニターを装着し、
子宮の張りを確認していくことが
必要になる。
子宮の張りが多くなると
お産に近づくということなので、
まだ生むべきタイミングでないのであれば
張りを抑えないといけない。
ちょっと大きいお饅頭くらいの
大きさの機械が二つあって、
一つは子宮の張りを調べるもの、
もう一つは赤ちゃんの心音を聞くもの
である。
その二つの機械にゼリーを付けて
計測できる位置にセットし、
お腹にベルトを付けて、
固定して計測していくものである。
これも簡単ではないため、
勉強と経験が必要である。
幸いこの機械については
自分のお産でさんざんお世話になったので
計測できる位置にセットすることは
すぐできるようになった。
問題は、
「計測したものから予測する」
ということである。
周期を見て、
もう少し長めにモニタを付けて
子宮の張りを計測したほうがいいのか、
もう計測は終了してもいいのか、
張りが陣痛のようになっていないか、
など看護師、助産師が判断していかないと
いけないのだが、これがなかなか難しい。
転職した当初、この読みがきちんと
できていなかったため、予定終了時間で
モニタを外してしまったことがあった。
医師から
「子宮の張りが起こっていたから
もう少し装着するべきだった。」
と指導を受けた際、
指導してくれた先輩看護師が怒られてしまって
大変申し訳ない気持ちになったことがあった。
それからは、予測することを念頭に
モニターの計測、装着を外すタイミングを
考えて実施していた。
産婦人科病棟の経験を
引き続き書いていきます^^
次回は、「私の仕事 その5」です。
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