AIで変わるカスタマーサクセス〜データから始まる未来の戦略〜
はじめに
2023年は昨年秋のChatGPT登場により、AIがより身近になり、個人的にも組織的にも活用が盛り上がった年でした。いくつか登壇の場もいただきましたが、まとめとしてカスタマーサクセスにAIを取り入れることで、生まれる優位性について書きたいと思います。
本noteは、CS HACK Advent Calendar 2023 12月1日の記事として投稿しています。
AI活用の勝者は独自データを持つ企業である
カスタマーサクセスがAIを活用するにはどうすればいいですか?とよく聞かれるんですが、まず、そもそも「カスタマーのインサイトデータ(独自データ)を貯めなければ、AIは使えません」。
当たり前なんですが、AIには学習データが必要です。学習するためのノウハウや知見がなければ機能しませんので、この学習データが豊富にあるかどうか?が重要になります。
真の勝者は記録→予測→実行へとシステムを進化させた企業になると言っています。そしてAI時代は、主要な差別化要因として独自のデータやデータスケールに依存している場合、競争上の優位性を提供することが見てきているとあります。要は、独自データを使い、予測にとどまらず実行まで繋げ、優位性を築ける企業が勝つということです。逆に独自データがなければ、AI時代は勝ち残れないという話です。
散らばったデータの統合にこそ、LLMを活用する
さて、独自データを蓄積することが重要だとわかっても、よくあるデータ管理の問題が2つあります。
プロダクト活用履歴や、CSMの活動データがない
データはあるが収集コストが高い、散らばっている
まず、弊社も数年前は1の状態でした。
今回は、2の問題を取り上げます。
一定のデータや知見がある場合、どう一箇所に収集し、使えるように整えるかという話になります。この問題、実はAIと相性が良く、AIの一種であるLLMを使って解決してきました。
問い合わせ緊急度 判断ツール
どんなことに取り組んだかというと、CSMやカスタマーサポートが困っていることを解決するためにLLMで社内の便利ツールを作り、データが収集できる、さらにデータを蓄積する仕組みにしました。
例えば、カスタマーサポート宛に来る連絡の緊急度と重要度の判断が複雑で、マインドシェアを割いている状況でした。一定パターン化できるものの、やはり属人的で、人によって対応のスピードにばらつき、感度の差があり、負担がかかっていました。
そこで、LLMでクレームになりそうなメールや問い合わせを一次スクリーニングしてもらうようにしたのです。こうすることで、カスタマーサポートの生産性も上げられ、VoCの集約やパターン化を加速することもできます。
議事録ツール
もう一つの重要なツールは、議事録ツールです。市場には様々な議事録ツールが存在しますが、私たちは社内で独自のものを開発しました。このツールの内容は、オンラインで行われる顧客とのミーティングを録画し、それを自動で議事録に起こして、メールで送信するというものです。一般的なツールのようですが、独自で開発するのには意味があります。というのも痒いところに手が届かなくては本当に使ってくれないのです。
どうしても使わせなくてはいけない理由は、特に弊社では、ベテランのCSMや営業スタッフの話には示唆に富んでおり、そのナレッジは重要ですが、継承が難しいという課題があったからです。顧客との対話データは、ナレッジの集積そのものです。SFAやCRMに残されるログとは異なり、顧客のどの課題に対して何を話したかが重要なのです。このようなナレッジを社内から広く蓄積し、次の戦略立案やスタッフの育成に役立てることを目的に、このツールを作成しました。
AIを事業成長と優位性のドライバーに位置づける
最後に、AIの有効活用には独自データが重要ですが、同じくらいAIを使う目的も大切です。強調したいのは、AIをビジネス成長の主要な推進力として位置づけることです。
特にカスタマーサクセスチームにとって、AIは単なる作業効率化ツールではなく、優れた顧客体験を提供するための重要な支援ツールになり得ます。
先に述べたように、勝利を収める企業は、AIによってデータの記録、予測、そして実行というプロセスを進化させます。AIを利用してデータ収集(記録)を行い、これを基に予測を立て、実行に移すことが重要です。将来的には、実行プロセスもAIで自動化されると考えられます。
どのようにAIを活用すれば「プロダクトやサービスが提供する顧客体験の優位性を築けるか?」を考えることからスタートしてみてください。
おわりに
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データやAI系の話やデータを活用したCSに関しては、SuccessGAKOで教えています。もしご興味あれば、ぜひ覗いてみてください。