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もっちりツルツル!富山県民に愛される「鶴喜」の天ざるうどん
富山に来ることになった数年前、東京で知り合った富山出身の友人に勧められたお店、そのひとつがこのうどん屋「鶴喜」。
富山に帰るときにはこのうどん屋に必ず寄るのだとか。友人にとっては富山のソウルフード的位置づけらしい。
国産の小麦粉を使い、毎日粉から手打ちする新鮮な麺はもっちりとしてツルツルでそののど越しがたまらなくいいと友人。
結婚して家族が増えてもしっかり帰省するごとに「みんなで鶴喜」が恒例になっているという。
さて、そんなお店を紹介されておきながら、うどんより蕎麦派の私はなかなか足を運ぶことをしなかったのだけれど、今年のお盆に帰省した彼の友人から鶴喜の天ざるうどんの写真が送られたときには、心がざわりと動かされた。
鶴喜の看板メニュー「天ざるうどん」はうどんに海苔、そして海老天が添えられたシンプルなもの。ほとんどのお客さんが頼むメニューであるのだが、その潔いビジュアルに妙にぐっとくるものがあったのだ。
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フェーン現象で暑さが戻った富山の街中を歩くこと10分ほど。
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創業約50年と聞いていたお店の構えはなかなか重厚。
開店からほどなくした時間だったけれど、近所のサラリーマンらしき御仁もひとりふたたりと中に消えていくのを見て、私も続いて中に入る。
席に通されお茶とお箸が運ばれてくるタイミングで天ざるうどんのオーダーを告げる。「少なめで」と一言付けて。
友人からも聞いていたのだけれど、普通に注文すると、かなりのボリュームのうどんが出てくるらしい。食の細い人には完食不可能レベル。
「1人前の量は多めです。ご希望の方は、少なめ、多めなど注文時にお知らせください。どちらも同じ料金です」
と鶴喜さんのHPにあったので、それにのっとって「少なめ」というキーワードを差し込んでみると…実際それが正解だったよう。
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私の天ざるうどんはきっちりざるの内側に収まっていたけれど、普通もりのざるが通り過ぎるのを見るにつけ、あふれんばかりのうどんの量にちょっと驚く。先に入ってすでに食べていた女性と男性の2人連れは、最後は女性のほうがうどんを持て余していた。多めに、といったらいったいどれほどのものが来るのだろうか。
さて、思考を自分のうどんに戻して、まずはビジュアルを楽しむ。つやっつやの麺は水分をたっぷり含んでいそう。お箸で持ち上げるとつるりとした感触が。さっそく薬味なしのつゆにつけていただく。
うん、やわらかい(笑)
といってもただただやわらかいのではなく、やわらかさの中にちゃんと噛み応えある部分、いわゆるコシが存在する。
やわらかく感じるのはきっと水分が多いせい。でもさすが富山のおいしい水を使っているだけあって、水の臭みはまったくなく、粉のうまみをしっかりと受け止めている。
友人はツルツルの麺、という表現をしていたけれど、チュルチュルというほうがしっくりくるかもしれない。
つゆはちょっと濃いめだが、水分の多い麺にはちょうどいい。
さて、忘れてならないのが海老天。うどんと同じつゆでいただく。
揚げたてではないけれど、衣はカリっとそして海老はプリッと食べ応えがある。そして味のクオリティも悪くない。さすが富山。
天ざるうどんには海老天2本がデフォなのだけれど、意外と人気の海老天は追加注文する人もいるらしい。わかる気がする。
ネギやワサビの薬味も駆使して、うどんと海老の交互食い。「少なめ」とはいえなかなか食べ応えがあるが、完食できた。
友人にとってこの天ざるうどんは間違いなく故郷の味であり、富山に来たらぜひとも食べたい味なのであるけれど、私の好みか、といえばまた別の話で。
ただ会計を終えるころには多くの人が席を待っている状態だったのを見るにつけ、この地で愛され続けているいいお店なのだな、と心がほっこりと温かくなる。
そして食べに来てよかった、と間違いなく思うのだった。