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大号泣のカタルシス

(決勝戦前の執筆です)
 日本時間21日に行われたWBC準決勝メキシコ戦は、記憶に残る凄い試合になった。

 日本にとって終始イヤな展開。吉田のホームランで一旦追いついた直後の2失点で、私は敗退を覚悟していた。

 佐々木の3ラン被弾、日本の残塁の山、メキシコ左翼手のホームランキャッチ、吉田の芸術的な同点弾、甲斐の二塁送球とリプレー検証、吉田のバックホームによる追加点阻止、源田の背面キャッチ、9回先頭打者・大谷の二塁打、、、そして、この日3三振だった村上の逆転サヨナラタイムリーと1塁ランナー周東の韋駄天走り・・・。なんという試合だ。

 9回に村上が打った瞬間に雄叫びをあげて、さらにサヨナラには号泣して、家族にすっかり呆れられた。

 60年近く人間をやっていても、あんな号泣は滅多にない。感動、安堵、嬉しさ、村上への賞賛、、、多彩な感情が一気に押し寄せてきて、どうにも涙が止まらないのである。「泣くことで気分がすっきりする」というカタルシス(精神浄化)を味わわせてもらった。

 不振にあえいだ村上が「ここぞ」という場面でタイムリーだ。2009年、やはり不振を極めていたイチローがの決勝戦で放った起死回生のタイムリーヒットがダブってくる。

 今回のWBCは「大谷の存在感」「不振の村上の逆転サヨナラ打」「新ヒーローヌードバーの登場」を死ぬまで忘れない大会になった。

 こんな凄い試合を見てしまうと、決勝戦の勝敗などはもうどうでもいいような気分にもなってしまう。そこに、ちょっと戸惑っている。
(23/3/22早朝)


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