ドロップの運命
「サクマ式ドロップス」の佐久間製菓が廃業するというニュースが出た。
佐久間製菓のHPによるとサクマ式ドロップスは明治41年に完成、114年の歴史があるという。
野坂昭如「火垂るの墓」では亡くなった妹が大切にしていたシンボル的なアイテムだった。各地で惜しむ声が上がっているようだ。
これだけの歴史があればほとんどの日本人が一度は食べたことがあるだろう。「え、なくなっちゃうの?!」と思うのも理解できる。
しかし、最近、これ、食べましたか?
みんながずっと買ってていれば会社だってそのまま継続できて、廃業なんてことにはならなかったはず。「残念!」と後悔するくらいなら購入し続けるべきだったのだ。企業活動はノスタルジーのために続ける慈善事業ではない。儲からなければ淘汰される。当たり前のことだ。
確かに甘いお菓子が貴重だった明治時代には珍重されたでしょう。しかし、所詮は香料をまぶした甘いだけのドロップなのである。スイーツが百花繚乱を競う21世紀のいま、そりゃあ厳しいだろう。
さらに話題になっていること。
廃業する佐久間製菓とは別に「サクマ製菓」という会社があり、こちらには影響がない、ということだ。
緑色の缶で、製品名は「サクマドロップス」。創業者は同じだとか。サクマ製菓の会社設立は1949年だから、つまり「火垂るの墓」のアイテムはやっぱり廃業する赤缶か。
私もまったく区別できていなかった。
そういえば、森永製菓がチョコフレークの製造をやめた際にも、その報道をきっかけに日清シスコのチョコフレークの存在をしっかり認識したものだった。後者はまだ普通に存在している。
経済活動だけではない。
諸行無常。すべてのことはうつりゆく、のだな。
(22/11/12)