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短編小説の愉しみ

 短編小説に苦手意識があった。作品ごとにいちいち登場人物やシチュエーションを切り替える必要があることが面倒だったのだと思う。そう、ひとたび没入した世界観はしばらく大切にしたいのだ。

 それがちょっと変化している。きっかけはジョン・チーヴァー「チーヴァー短編選集」だった。どこかの新聞か雑誌の書評で見かけたように記憶する。すぐに図書館で借りることができたのでパラパラ読み始めたところ、その味わいがなかなか良いのである。

 アメリカ東海岸の中流の風俗が描かれているのも面白い。禁酒法からいくらも経っていない時代だろうに、みなさん、まあよく酒を飲んでばかりいるのも面白い。

 O・ヘンリーのような雰囲気もあるが、そこまでわかりやすい展開がない作品もある。時にはばさっと切って落とされたようなラストにびっくりさせられるが、そこもまた味わい。寝る前にひとつずつゆっくり読むのが幸せだ。

 “短編アレルギー”を克服できたら日本の作品にも手を伸ばしてみるかな。
(25/2/3)

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