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カネで買える時間と優越感


 「東京のラーメン店に有料で予約を取るサービス」とテレビニュースで見た。「インバウンド需要を取り込むために」というくくりである。

 予約の手数料はひとりあたり390円。ホテルのコースではない1杯1000円程度のラーメンではなかなか割高に見えるが、客はインタビューに対して「カナダドルで3~4ドルだし、時間がをかけずにすぐに食べられるので気にならない」と答えていた。こんなところにも円安の“効果”が現れているのだな。

 店にシステムを提供している会社の担当者は「観光客は時間に対するコストの意識が高い。『並んでいる間に他のことができたのではないか』と思うので、反応はいい」と話している。

 なるほど。わざわざ休暇を取って弾丸でワイキキに滞在していた頃のことを思い出すと「せっかく来ているのだし、並ぶ時間がモッタイナイ!」という気分は十分に理解できるぞ。

  そういえばTDR(東京ディズニーリゾート)も有料のファストパスが導入されたのだった。公式によると2500円から1500円に設定されている。もちろんひとりずつの価格であり、すでに入場料がかかっていることを考えると「家族4人でさらに1万円かかるのかー」と考えてしまう。

https://www.tokyodisneyresort.jp/tdl/guide/disneypremieraccess.html

https://www.tokyodisneyresort.jp/tdl/guide/disneypremieraccess.html

 「時間をカネで買うようなマネ」とするとちょっと卑しい行為である気がしてしまうが、長蛇の列の“一般人”を横目にしながらアトラクションに乗る優越感も味わえるという趣向込みのお値段なのだろうな。

 とにかく若い頃は「売るほどある」と思ってしまうのが「時間」。
 
それが還暦ともなると、「ああ、あとどれくらいかな」と無意識で考えている。私の場合は「あと何冊本が読めるのか」だ。その大切さがわかってくると、こうしたサービスも安易に批判できない気分である。
(24/5/8)


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